くら散るり

エリー.ファー

くら散るり

 くら散るり

 ちるりるらはり

 ちるりるは

 ちりくらちるり

 るりるらは

 くら散るり散るり

 散りるりるらはく散るちりるは

 るりるらは

 散り散り散りる

 りるりるりるはるりるりは

 りるり散りるはちりるりは

 散る散る散るちる散りるるる

 りるはるりるりるりるらは

 散りるりは

 瑠璃は瑠璃は瑠璃るらは

 ちりちり散りりり

 りり瑠璃は

 瑠璃るは瑠璃る葉

 はり瑠璃る

 散る葉散る散る瑠璃散る葉

 はり散り瑠璃る散り葉瑠璃

 瑠璃瑠璃瑠璃瑠璃瑠璃瑠璃るるる

 散り葉るるりる

 るる瑠璃る

 散り葉りるるる

 るるるるる

 瑠璃は散るからるりるらは

 瑠璃瑠璃瑠璃どこ

 どこりるは

 瑠璃葉散り散り散り瑠璃は

 瑠璃のことまでるりるらは

 瑠璃はどこ瑠璃

 どこへとゆく瑠璃

 散り散り散り散り

 瑠璃瑠璃瑠璃

 瑠璃どこ

 瑠璃どこ

 どこにいる瑠璃

 瑠璃はどこ

 散る葉と瑠璃瑠璃

 瑠璃はどこ

 どこにるらは

 どこにいるらは

 どこらは

 りるらは

 どこらはりるは

 りるは

 りるはりるは

 りるはりるは

 どこいるりるは

 るりはどこるはろこからるりは

 りるはらどこらはどこはらりるは

 るりるり

 るりはら

 るりはらるりはらるりはら

 りるはらどこるり

 いるはらるりは

 いるのはるりは

 るりは

 りるらは

 るりるらは

 るりるらは

 るるるるるりるらは

 りりりるはるりるらは

 りりりりりりる

 るるるるるりるらはりる

 るりはらるりは

 るり

 るり

 るり


 私の知る限り、あんなに雨が降る日に外に出る方が悪いと思う。

 遠くから来たので崖から見える町の雨模様を写真にしたい。

 カメラ片手の瑠璃はそう言った。

 私はこの町の人間だったので、当然止めたが瑠璃はとてもそんな言葉で止まるような女性ではなかった。

 女性という表現が良くない。

 女性ではなく。

 あれは。

 少女だった。

 いつまでもいつまでも。

 少女のまま生きてきたように見えた。

 そして。

 これからも。

 その予定であったように感じられた。

 瑠璃はカメラを片手に雨の中、走って行った。

 足音は遠くなり、しかし、雨音は強くなるばかり、きっと帰って来るだろうと、私は温かいコーヒーを飲みながらそんなことを思った。

 写真はきっと撮れたはずだ。

 あの山奥の中で、きっといいものを手に入れたに違いない。

 私はそんなことを思う。

 瑠璃は元々、都会生まれで、自然というものに強いあこがれを持っていたようだった。ほんの少しでも、自分の体の中に、人間では作り出せないものを残したいと本気で思っていたようである。

 かくいう私もそうで、この場所でコーヒーを作り続ける意味もそこにある。

 ここに居れば、都会の雨も自然の雨も両方楽しむことができる。雪解け水を触ることもできれば、冷たい水道水で顔を洗う日もある。天気は目で調べるのに、服装はネットを使いトレンドをチェックする。

 瑠璃は、それを。

 変なの。

 と言ってよく笑っていた。

 私はそれをよく無視していた。

 余り、気分がよくなかったのもあるが、しつこかったから、というのが一番の理由だ。

 瑠璃のことをこの町の人間に尋ねると、あんなに良い子はいない、と言う。

 正直、瑠璃は別段、可愛くもなかった。

 もっと言うなら、性格がとても良い子だった、ということでもない。

 ただ。

 瑠璃だったのだ。

 誰にも代えられない程。

 瑠璃だったのだ。

 その内、この店で、瑠璃の思い出を語る人間が増えると、その中から詩人が現れ、訳の分からない詩を紙いっぱいに書いた。

 それはそれは。

 瑠璃の長い髪のようでいて。

 瑠璃の長い手足のようでいて。

 瑠璃の美しさそもののような。

 そんな。

 美しい文字だった。

 皆。

 瑠璃を忘れていない。

「マスター。この珈琲美味しいね。これ、女の子の名前が付いてるやつなんだろ、なんていう名前なの。」

 私は微笑む。

「雅子ブレンドだよ。」

「瑠璃は。」

「あぁ、瑠璃は、別に、そういう子だったってだけ。雅子の方がめっちゃくちゃ可愛かったしエロかったから。雅子の名前つけたの。」

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