第642話
ムルコルスタ大陸にいるキッカさんたち鉄壁の
その
「栄養満点の溶岩だから魚たちのエサにちょうどいいよね〜。海にとってもいい栄養が含まれているから、波が世界中に運んでくれるし」
「おい、エミリア? その火山が以前エミリアが言っていた噴火に関することではないのか」
「……たぶん違う」
前兆があるなら神が放置するはずがない。世界全集の記載通りなら、火山は今でも神が管理しているのだ。そうじゃなければ、いくつかの火山島で温泉をメインとした保養地として成り立たないだろう。
「エミリアちゃん、行ったことあるの?」
「あるよ。巨人族、
彼らが「いやしの水を温泉に使ってもいいか?」と聞いてきたのは、妖精たちと出会う前。ピピンとリリンが一緒に住み始めて、私がある程度起きていられるようになった頃。ピピンが世界全集で温泉地として一番近い島を教えてくれた。使用を許可していた書架に日本の温泉地の雑誌を並べて置いていたので、温泉が身体に良いと気付いたらしい。
普通に飛んでいったら、航路から外れている島に客が来たって大騒ぎになった。
「上を下への大騒ぎでさ、事情を話して療養させてほしいと頼んだら
「ただ寝かせるだけより、ハーブを浮かべた風呂で温浴する方が身体の回復にいいと教わりました」
「私も色んな植物を分けてもらって、テントの温室で育てたんだよ」
リリンは本当にたくさん勉強していた。
本にしてたくさんの人に知ってもらえないかとポンタくんに相談したら、まずレポートにしてほしいと言われた。ピピンの協力の元、妖精たちにも手伝ってもらいながら知り得たハーブの知識をレポートにまとめ、植物を記録した魔導具も一緒にポンタくんに送った。
ポンタくんはその情報の多さに目を回し、希少性の高いハーブが含まれていたことに気付き、泡を吹いてひっくり返ったそうだ。
「すでに存在が伝説化した薬草まで……!!!」
「薬草じゃあな〜い、のぉ。ハーブ、よぉ〜」
まだ上手く喋ることができなかったリリンだったが、一生懸命に自分だけではなくピピンや妖精たちの協力でレポートにできたこと。さらには自分は教わっただけで本当に評価されないといけないのは巨人族の人たちだ、と訴えた。
「それではその巨人族の皆さんからも許可をいただきます」
……これが巨人族の人たちに向けられてきた今までの評価が驚くほど大逆転した。隠れ住んでいた彼らは、今ではこの本のが有名になったことで知識の高さが認められで有名になった。その本を知っている人から巨人族に対しての差別意識は薄くなった。まあ……最初は大きい身体に驚かれているが。
温浴や
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