第394話
「エミリア。アゴールは男勝りなだけで正真正銘の女だ」
「フィムも産んだもんね。……お胸ぺったんこだけど」
「ちょっっっ! エミリアさん!」
「あるぞ……ちっこいけど」
「ダイバ!!! あんたまで……何を言ってるかわかってるんでしょうね!」
「
「原因はエミリアさんでしょ!」
そう言って、アゴールが背後から強く抱きしめてくる。怒ってるけど怖くないのは、アゴールの今は照れが入っているからだ。……本気のアゴールはめちゃくちゃ怖い。火を吹くドラゴンを一撃の蹴りで倒してしまうくらいに。
「だけどー」
「なんですか」
「ダイバはアゴールをお嫁さんに選んだし〜。フィムや赤ちゃんもできたし〜。お胸ちっこくても男勝りでも、ダイバはアゴールのことが大好きだよ〜」
顔だけ振り向いてアゴールの顔を見ながらいうと、アゴールは一瞬で顔を赤らめた。
「あ、え⁉︎ ……ちょっと、あ、あの、エミリアさん」
アゴールは直接的なことを言わないと伝わらない。ただ、ダイバは言わなくてもいいことまで直接的にいってしまうため、アゴールを怒らせてしまうのだ。
「アゴールは? ダイバのこと好きー?」
顔を真っ赤にしているアゴールは、ダイバにそんな恥ずかしいことを数回しかいったことはない。
「俺はアゴールのこと好きだぞ」
「あっ、えっ、えっと…………エミリアさんっっっ」
「ぐぇっっっ」
アゴールが恥ずかしがって、私に強く抱きつく。苦しい! アゴールの力は普通の女性の強さじゃないんだってば〜〜〜!!!
「こらこら、アゴール。エミリアちゃんの首がしまってる」
「アゴール、エミリアから手を離せ!」
「も、元はといえばダイバが余計なことをいうからぁぁぁぁ!」
「くびぃぃぃぃ」
「アゴール! エミリアをさらに締め付けるな‼︎」
このまま落とされると思った瞬間に、バッコーンという音と共にアゴールの締め付けがゆるんだ。
《 いい加減にしないとぶっ飛ばすよ!!! 》
驚いて振り向くと、
「
《 あ、ああああ! 》
「エミリア、『問題ない。アゴールの自業自得だ』と言ってくれ」
「だって」
《 ごめんなさい 》
「だって」
「……エミリア。同調術を使っていないんだから、それだけで済ますな。だいたい何を言っているかはわかるが。今は妊婦だからほどほどにしとけ、ってそこで聞いてるんだから通訳しなくていいぞ」
「だって」
《 エミリア、いいって言われたのに 》
「だから通訳はしてない」
《 うん、最初っからしてないね 》
そういった暗の妖精は泣き笑いになっていた。
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