第357話


《 エミリア、今日から外へ行くときは涙石に入ってるよ 》

「そうだね。どんな連中がいるかわからないし」

《 でも、何かあったら暴れるよ 》

「私がね」

《 私たちもね 》

《 ミリィたちもね 》

《 ベヒモスもね 》

《 騰蛇もね 》

「結局全員かよ……」


妖精たちの言葉にダイバが嘆く。それをみて誰もが苦笑する。


私と契約していない妖精たちがダイバたちの荷馬車に隠れていた。


《 ちゃんと滅びたか確認したい 》


彼らはたくさんの仲間を殺した国が滅亡したなくなったことを目で見て確認して安心したいらしい。


「『絶対悪いことイタズラをしない。そして帰りは騰蛇と一緒に帰る』と言ってるけど?」

「もうひとつ追加しろ、『許可が出るまで馬車からでない』。遊びにいくんじゃないんだ。連中の中には妖精たちを見つけたら捕まえようとしている可能性もあるんだ」

「あの国には逃げ遅れた妖精が捕まっているはずだ。それを保護という名目で使役しよう。そう考えていてもおかしくない」


そういって妖精たちを見ると、テーブルの上で正座して真面目な表情で私たちを見上げていた。


《 僕たちもその可能性は考えてる。だから…… 》

《 まだ見つかってない子が何人もいるんだ。だから……その子たちが、……分かってる。殺された可能性の方が高いんだ。でも……自分たちで探したいんだ。…………にも 》


そう言ったのは水の妖精。彼らが一番使役されて殺された。今までも騰蛇やアラクネ、空魚ルティーヤたちが何度も取り残された妖精がいないか探してくれている。

だからといって、諦めきれないのだろう。


「私たちはからしか中の様子を確認しない。だから、ちゃんと納得できるまで中を探しておいで。ただし、『そこに残る』のは禁止。まず騰蛇たちが大地を浄化する。めるようになるのはそれからだ」

《 ……‼︎ うん、ありがとう! 》



そう、私たちに『神獣たちがした封印』は解くことができない。私たちは封印の外で影響がないかを確認するために向かうのだ。


「なんかあったら、大暴れするもんね〜」

「暴れる前に相談しろ」

「暴れてから相談……」

あ・ば・れ・る・前だ!」

「相談しても暴れるもん」

「ちゃんと正当防衛いいわけを考えてやる。だから先に相談しろ」

「ほーい」


私が手をあげるとダイバの気力がドッサリ落ちたようで疲れた表情になっていた。

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