第308話
エリーさんは一週間、この世界では一日少ない六日間だが、その間ずっとハイルの様子を見張ることにした。ミリィさんが報復を望まず赦したため手をだせず、そしてハイルの所有権は私にある。
「エリーさん、ハイルには手をださないで下さい。もし彼がエリーさんからの報復に怯えて犯罪に手をだした場合、木賃宿に放り込みます。その前に神獣から神罰を与えてもらいます。死ぬまで何百回、妊娠・出産するんでしょうね」
エルフだもん、ほぼ毎月妊娠するから何千回かな〜。楽しみだな〜。とハイルを見ながら笑うと、ダイバが隣に立つクーパーを見た。彼はアゴールのいとこで、ダンジョン
「国王って今までで十人産んだんだったか?」
「いや、九人で十人目を孕んでいる。宰相が双子を産みやすいみたいで、すでに二十三人。次が貴族だった公爵の次男。ちょうど今日あたりに十五人目を産んでる予定だろ」
王都の王族・貴族たちはダンジョン
「仕方がないよね、罰なんだもん」
「罰だもんなぁ」
「じゃあ、エルフだったら?」
「さあ……どうなんだ?」
全員の視線がエリーさんに集中する。
「エリーさ〜ん、エルフって異種族との子供が産めるの?」
「産めるわよ。普通の場合はね。ただ、神罰で子を産んだエルフの男の記録はないから、ハーフエルフとなるのか別種になるのか。そもそも女性と同じなのか、一切わからないわ」
「じゃあ、このままいけば、ハイルが第一号ってことだね」
ハイルの目が絶望感を滲み出している。妖精たちに笑われたり頭をポンポンと軽く叩かれたりしてもショックで反応できずにいた。
「ハイル……、大人しく働いて借金を減らすことだけを考えよう」
「………………ムリだ」
ベイルの慰めにハイルが長い沈黙ののちに、やっとひと言だけ吐きだした。それも、後ろ向きな発言だ。
「まあ、ムリだよね〜。だって十億ジル、白大金貨百枚。それがこの男の値段。木賃宿に送っても、日数と一日で捌ける客の数を限界まで増やして計算して……だいたい八十年。エルフという付加価値をつけて、少し金額を高めたとしても、ね。通常なら約百五十年。いくら長命だとしても、
「エミリアちゃん、コイツの家族も連れてこようか?」
「やめろ! ……い、いや、やめてください……お願いします」
エリーさんの言葉にハイルが一瞬で態度を変えた。しかし、奴隷という立場から許されないことだ。反抗的な態度を見せたということで……借金が自動で追加された。ステータス画面が自動で開いて金貨三枚が追加されたと表示された。
「返せるの?」
「返す! 返します‼︎ だから……」
「さっきの暴言で金貨三枚の追加があったのに?」
私の指摘に驚きの表情を見せるエルフ三人衆。
「え……? しかし、ステータスが……」
「奴隷になった時点でステータスは封じられたでしょ。だから、魔法も
それは奴隷なら誰でも説明されていることだ。子供たちを見れば、ちゃんと聞いていたらしくコクコクと頷いていた。
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