第197話
《 というわけで。ちゃんと悪意を持って寄ってきた連中には『妖精の罰』を与えたし、二度と手出ししないように脅しもしてきたよ 》
「な〜にが『というわけで』なのよ」
妖精たちからのアゴール護衛報告は頭をかかえるものだった。……妖精たちに対してではなく、アゴールの周囲に対してだ。
やはり「子供ができなければ」という連中もいたが、中には「アゴール様が妊娠なんて!」と嘆く女性職員が思っていた以上に多かったのだ。だが、思うだけならタダだ。
手を出した時点で妖精たちに叩き潰されたが。
《 酷かったよー。ダイバを好きな女とかアゴールを好きな男たちは、階段から突き落として運が良かったらアゴールも死ぬって思っているんだもん 》
《 ちゃんとアゴールとお腹の赤ちゃんを守った! 》
そう。妖精たちは二人を守っただけだ。
妖精たちがしたことはただアゴールに風を送り、ちょっと横へずらしたり立ち止まらせただけだ。あとは連中がバランスを崩して階段を落ちるなど自滅していった。その数三十九人。内、女性二十三人。アゴールを好きな男の場合、「アゴールが死ねば、ダイバも他の男にも二度と触られることはできない」という身勝手な者までいた。
「良かったね。そいつ、二度とアゴールを見ることも触れることもできなくなって」
彼ら三十九人の中に『別の理由』を含んでいた者もいた。そう、
今回は、そこに雲隠れした連中が入っているのだろう。
「ところで、外周部に向かったダイバの方はどう?」
《 あっちはほとんど片付いたよ 》
《 やっぱり、呪いをかけた二人が死んだことが大きかったみたい 》
宿で一人が突然死、一人も一時間後に死に。外周部といえど、もちろん不審死として届け出る必要がある。
そこからサクッと身元が判明していった。何より、死人ほどお喋りな者はいない。故意に隠すこともなく、すべてさらけ出すからだ。鑑定にはエリーさんが協力してくれたらしい。
「連中は何が目当てだったの?」
《 大したことじゃなかったよ 》
彼らが求めたのは『ダンジョン
「犯罪者はダンジョン
《 うん。ダイバがそれを指摘したら驚いてたよ 》
もう呆れてため息も出ない……
《 すでに組織全体を潰してきたから、連中は二度と日の目は拝めないよ 》
「何をしてきたの?」
《 何にもしてないよ。連中は罰で地下水路に入れられることになっただけ 》
各地に点在する仲間たちは妖精たちが遊んできた。誰が見ても『妖精の罰』だとわかるように。
彼らは牢屋に入れられ、ここダンジョン
…………あとは、庁舎で行われてきた犯罪を暴くだけとなった。
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