第180話
ハーッと息を吐くと白い息が見える。ダンジョン
「ダンジョンに入っても、滞在期間が決められているから時間になれば追い出されるだけだがな」
そして、強制退去させられた冒険者が
見世物にすることで、ベテラン冒険者たちに顔を覚えてもらう目的も含まれている。そうすることで、初心者マークをつけた彼らがダンジョンの内外で問題を起こしたときにベテラン冒険者たちからフォローしてもらえるようになる。そうやって孤児から冒険者になった子供たちは、周りに見守られて成長していく。
それが、ダンジョン
「今日は何人が立たされているんだろう?」
《 昨日は十一人いたね 》
私たちはそう話しながら
昨日はダンジョンの情報をもらいに行っていた。冬はいつも以上に温暖なダンジョンに潜る冒険者が多いのだ。それも長時間入り続ける冒険者もいる。もちろん、弱い魔物相手に鍛錬をするための冒険者もいるが、ほとんどは『寒さよけ』だ。
昨日は
「とりあえず、ダンジョン
「詳しいね、ダイバ」
「おいおい。俺は行ってないぞ」
「誰もそんなことは言ってません。誤解するということは
「ちょっと待て、アゴール! 俺がお前から何時間も離れたことはないだろうが! 待てって! 俺はお前以外の女に興味はない‼︎」
両手にトンファーを装備して構えたアゴールにダイバが慌ててあとずさる。アゴールの目は据わり、いつでも飛び出せるように腰を落として臨戦態勢をとっている。
「じゃあ、「男に興味がある」というんだな?」
「うわぁぁぁ! ちが……違う! 落ち着け! 俺が……」
「問答無用ォォォォ‼︎」
「相変わらず、仲良し夫婦だね〜」
《 アゴールを冷却させた方がいいかな? 》
「放っといていいんじゃない? あれも夫婦のじゃれ合いなんだから」
「副隊長に勝てるわけがないのに……」
二人の部下たち、『ダンジョン管理部警備隊』の隊員たちも笑って見守っている。
「ねえ、知ってる?」
「何をですか?」
「アゴールよりダイバの方が上だよ?」
私の指摘に、誰もが驚きの声をあげる。
「ほら、よく見て。ダイバはアゴールの攻撃を一度も受けたことがないでしょ?」
そう言うと、誰もが二人の鬼ごっこに目を向ける。実際、ダイバは上手くよけている。
「アゴールよりダイバの方が強いからこそ、こんな中でも問題がないんだよ」
私が笑うと、隊員たちは感心したような声を漏らした。
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