第83話
調合窯に『毒草と薬草』を入れて『毒消し薬』を作ろうとしたら動きませんでした。薬草の数を増やしてもダメでした。
『
そのため『
『エアちゃん。いま何処?大事な話があるの』
エリーさんからメールが届いていました。テントの中にいるから、王都の中にいてもチャットが届かないのでしょう。
『大事な話』ですか。嫌な予感しかしません。
セイマールの交渉人や、セイマールの交渉人回収隊。レシピの無償譲渡や使用料免除を強要してくる料理人も。
そう伝えて『聞きたくない』と遠回しに伝えました。
『エアちゃん。『経過報告』だけよ』
『それとね。他の国から商品リストが届いたわよ。どの国からも見本として商品を送ってくれているわよ』
「すぐ行きます!」
『食堂で待ってるわ』
すぐにテントから出ました。窓の外の木々の葉が黄色く色付いています。
・・・私の周りは、たしかに時間が流れています。
テントの中は時間が止まっています。テントが繋がっている空間も。
海のある空間は、何時も海で泳げる気温と水温を保ち、木々のある空間は春の陽気を保っています。
そして・・・。私の気持ちも変わらないままです。
憎しみと恨みが時々ぶり返します。すべてを壊したくなります。
今は『癒しの水』を料理で使っているため、気持ちが落ち着いてきました。ですが、このまま何もしないで冬に突入する気はありません。
ダンジョンに入って来ようと思っています。止められても抜け出す気でいます。
だって、閉じこもっているのは精神的にも肉体的にも気分的にもマイナスですから。
「あ。エアちゃん。久しぶりね。どう?元気にしてた?」
今日はアンジーさんとシシィさんも一緒のようです。二人とは私が王都に戻った日以降会っていませんでした。
「エアちゃん。報告を先に・・・ってエアちゃん。耳を塞いでテーブルに突っ伏さないで!」
「ダメよ、エリー。先に届いた商品リストと見本を渡してあげなきゃ」
耳を本気で塞いでいるわけではないため、会話は十分に聞こえています。ただ『聞きたくない』という意思表示をしているだけです。
それは誰もが気付いているため、私たちの会話を聞いている皆さんもクスクス笑っています。
「もう・・・。はい、エアちゃん。
「ありがとう」
リストをペラペラと
「こんな気配り出来る国はいいなー」
「エアちゃん。気に入った?」
「はい。アクア。マリン。あとで寸法
「「はーい」」
「え?エアちゃん。編み物出来るの?」
「はい。独学ですが」
「・・・編めるだけでも凄いわよ」
本格的な冬が来る前に、マフラーや帽子、手袋など最低限の防寒具を用意しましょう。
「オレにも作って下さい」
「俺も!俺も!」
「残念ですが。毛糸が全然足りません」
そう言ったら、皆さんは小声で何やら相談して数人が食堂から出て行きました。
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