第575話
「んふふぅ~♪」
「ご機嫌ですね。どうされました?」
スマホを見ながら上機嫌になっているのだから理由はわかるのだけれど。それでも一応理由を尋ねてみる。
答えは案の定オブ案の定で。
「あんな~? 才様からなぁ~? 連絡来てん」
「そうですか~。それはとても喜ばしいですね~」
(かんわいいなぁ~このオババ本当にもうっ!)
彼女の場合幼児退行という言葉は当てはまらないのだけど。少なくとも言葉から知性は失せたね。少しだけ。
「それで、内容はなんと?」
雪日ちゃんにも連絡は来てるのだけど。今は彼女の傍らに侍るという職務の真っ最中のため確認はまだ。なので彼女から聞くことに。
「あ~……それな。うん。えっとな?」
「はいはい?」
「セツも見てや」
「あ、はい」
ってことで彼女が両手で自分の顔の前に掲げつつこちらに向けてくるスマホに目をやると。
『遅くなった理由の言い訳しようとしたんですが彼女がいるって思われちゃいました。今度紹介しろとか言われたんですけど、どうしたら良いですか? 雪日さんは今度挨拶に来るとか言ってましたが』
(どうしてそうなった……あ、いや……そうか)
なんとも言えない顔になりつつ風呂上がりで髪の艶や香りで気づかれると察する。車の中でも良い香りがしてたからこそすぐ気づけたね。
「ど、どないしよか。これ」
「どうしようと言われても」
連絡来たからテンション上がってたけど、内容を改めて見直すとさっきと打って変わって困り声。
雪日ちゃんとしては眉は寄せていたものの答えはすぐに出たみたい。
「もう恋仲ってことで良いんじゃないですか? それくらいの事はしてますし」
「そ、そうやけど……でもこんなオバンと良い仲やなんて可哀想やと思うねん。まだ若いのに……」
「恋に年齢は関係ないですよー」
「そうやけど……でも……でもぉ~っ」
年齢はこじつけで、彼女としてはただ自分に自信がないから遊びの相手で終わっても良いという感じなのよねぇ。
ま、それは雪日ちゃんが許すつもりないんだけれど。
「っていうか、そんなことまでしといて何を今さら」
「こ、これは……ちゃいますねん。こっちで勝手にやるもんやからやね……」
雪日ちゃんが指差しているのはお習字セット。
というのも、さっきまでずっと名前を考えてたんだよね。子供の。
「気が早いというかなんというか」
「だ、だってあんなにシたんやからデキててもおかしくないなーと」
「……どんだけシたのかは知りませんし知りたくないですけどね。そう簡単にデキるもんでもないんじゃないですか? 天からの授かり物って言いますし。今が機じゃないかもしれませんよ」
「逆に
「もう。あーいえばこういうんだから大女様は」
「それ、セツもちゃう?」
「貴女の孫みたいなもんですから」
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