第567話
「はぁ……はぁ……」
事が終わって、彼に覆い被されながら呼吸を荒げる彼女。
別に酸素が欲しくて呼吸を荒げてるわけじゃないんだけれど……そのあたりは今は良いか。
「ぜぇ……! ぜぇ……! ど、どうっすか? いい加減満足しました?」
「は、はひ…………堪能させて……いただきまひた……」
(よ、良かった……もうこれ以上はさすがに無理……。また一週間シなくて良いや……)
回数は一度だけれど、さっき彼にしたのと同じ時間はされたからひとまず満たされたってところ。
「そちらは……如何でしたか? 慰められたでしょうか?」
(慰めるの意味がわかんないけど……まぁたぶん満足したか聞いてるんだよ……な? 流れ的に)
「十分過ぎるほど……」
「ほ……。それは何より」
「…………」
(なんか、さっきから言葉遣いが丁寧になってるような……。なんのきまぐれだろ?)
押し倒した時から
(ま、いいか。今はすごい機嫌良さげだし)
どうでも良くなると。目的を達したのならその他は些事ってね。
さてさて、やることはやったし。次にやらねばいけないことがあるよ。
「はぁ……こないになってしもたらそのまま帰すんは忍びあらしまへんね」
「あ~、そっすね」
ナニでとは言わないけどびしょびしょになってるからね。シャツとかパンツとか。
今冬だし。このまま外出たら風邪引くね。
「お風呂、入ります? 湯はこれからになってまいますが」
「じゃあシャワーだけ」
「かしこまりました」
「あ、あの……」
「どないしました?」
「い、いや……一人で入れるので……」
少し広めの浴室で、薄手の白装束を着た彼女が彼の背中を流す。
シャワーだけだから特に世話を焼く必要はないのだけれどね。まったく。困った女だ。
「まぁまぁそう言わず。あれだけしはりましたし、お疲れでしょう?」
「そ、そうっすけど……。だからって――っ!」
おっと~。正面の鏡に映る彼女が目に入ってしまった~。
何度も裸を見てるし。触れてるし。そりゃもうスゴいことをしてるんだけど。それはそれこれはこれ。濡れた白装束越しに透けて見える肌はそれはそれは色気のあること艶やかなこと。
しかも浴室は密室。
この彼女は体臭はほとんどないし、それを広げるための汗もほぼほぼかかない。でも、だからってもう一つまでないわけじゃない。
汗にのせるのは臭い……そしてなによりもフェロモン。
ただの人間ならいざ知らず。人類を超越した彼女が意中の
あ~あ。可哀想だね彼。こんな強烈なモンを密室で肺にぶちこまれ続けたら――。
(や、やべ……また……。どうなってんだよ俺のムスコ。また一週間禁欲しても余裕かと思ったのに……っ)
催しちゃうよねー。そして。
「……あの、しはりますか?」
それを見逃す彼女じゃないと。
それで? 彼の返答は?
「……………………お願いします」
大分迷ったけど。ま、それしかないよね。
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