第469話
「あいつは用事で出掛けてるらしいぞぉ~。あむ」
結嶺迎えに行ってたとしても一時間も別れてないのになにすでに大広間で大量の皿を積み上げてるのかねこいつぁ。
そりゃあこっちの飯のが本格的っていうか古風な和食って感じであっちじゃなかなかお目にかかれない珍しい食い物ばかりだけども。なんなら食材も地球産から品種改良されてるし。
だからまぁリリンの興味をそそるのはわかるけどもう少し遠慮を……って今さらだよな。
それよりも。カナラは少なくとも言付けてるはずみたいなんですけど。
「こいつはこう言ってるんだけど。したらお前も聞いてたはずだよな? なんでそれでお前は俺が来たことに疑問持ってんだよ。なんなら先にこいつらと会ってんじゃねぇか」
コロナとかけっこもしてたし。
「ぬぅあはっはっは! そこな童とかけっこしとったらつい!」
「着物着なれないガキとかけっこすな」
「うむ」
なに同調してんだよ。かけっこしてた当人だろうがお前。
「で、ロッテは?」
「勉強」
「なんの?」
「飯」
「……なぁるほど?」
恐らくカナラの妹分娘分の人たちに色々と教わりに行ってるってこと……だな。たぶん。
いやはや勤勉なことで。頭があがらんね。
「まぁまぁ堅いこたぁええが! まずは座って酒でも飲め! そこの金ぴかも!」
「い、いえ、あの……まだ未成年なのでお酒はちょっと……」
「ところで誰が?」
「だれ……が? ……あ」
メズキの独特な訛りで一瞬ピンと来なかったようだけど、すぐ気づいたってとこかな。
だよね~わかりづらいよねぇ~こいつのしゃべり方。
カナラも矯正しようとしたとかなんとか言ってた気がするけど諦めたつってたかな?
というかこれでもかなりマシだとか。いったい昔はどんだけ酷かったんだろ? ちょっと気になるね。
ちなみに今は『お前誰?』って結嶺に聞いた……んだよな?
「えっと、天良寺結嶺です。
俺の方をチラリと見たのは誰のかを示したってことだろう。
わざわざそんなことをしなくても流れから察し……てはくれないかもか。メズキが相手だと。うん。結嶺、お前は正しい。
「ほう! オラも姐御の妹分がよ! なんぞ良い酒が飲めそうが。ほれ、飲め!」
「いえ、あのだから飲めな――」
妹シンパシーを感じたからか気に入られたようだな。
良かったな結嶺。友達できて。おにいちゃん嬉しいよ。
「に、兄様ぁ~……」
なんだよ急に甘えた声だして。妹仲間ができたからってそれっぽいことしなくても良いんだぞ。
……妹っぽいことと言えば。
「そういやお前兄さん呼びもうしないんだな。人前だと」
「もう父様の監視もないから良いかなと。それよりも助けてくださいよ……」
あ、甘えてたんじゃなくて助けを求めてたのか。それは気づかなくて悪い。
「まぁなんだ。一杯付き合えばたぶん満足するから」
「そんなお前は良い子なんだから的に窘められても……。飲酒は止めてくださいよ法律としてもモラルとしても」
「いやまぁここ日本どころか地球じゃないし良いかなって」
「一応日本国籍なので遵守させてくださいお願いします」
とまぁ。割りと本気で頼まれたので俺はメズキを必死で説得したのであった。
つっても代わりにリリンに飲んでもらっただけだけど。
「かぁ~。美味いがちと甘すぎるな。あの甘党め。もっと他のも飲めよ。
……相変わらず渋いな。こいつはこいつで。
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