第425話
「なんにしても。学園長がどうにか止めそうだけどな」
やるときゃやる人だし。
でも――。
「クハッ。こんな機会逃す手もあるまいよ。神の力を体験できるなどそうはない」
今後どんなヤツが相手になるかもわからないしな。
あの影を使うヤツら――
特に神誓魔法にはもっと触れておきてぇ。今になって気づいたけど、御伽とカナラがぶったぎったヤツ。似たような気配があった。
ま、こんだけ時間相手から気づいた程度しか似てないけども。
けど、無駄にはならないってことだけはわかる。
「で、やるってなったら誰が相手すんの? 俺に絡んできそうだし。学園長との約束は他の
「我……と言いたいとこなんだがな。もう数日馴染ませたら今の力を確認せねばいかんし。ヤツの目当てでもあるしでコロナぶつければ良いだろ」
「ぅぇ……」
「嫌そうだけど?」
こいつ人見知りだしなぁ~……。それもよりにもよって変態が相手。
久茂井先輩や伊鶴も得意じゃないし、デュアメルとかもう天敵だろ。俺とリリンとは違う意味で。
「儂も反対だ! まだコロナには早い!」
「随分と過保護じゃないか貴様。最近は特に」
コロナが燃えたあの件から面倒見が良いだけだったのが過保護に進化してんだよな。
まぁわからなくもないけどさ。俺とリリンも常にコロナの体も
「儂は気づいたんだ。儂に向いてるのは子作りよりも子育てだとな! 群れにいた頃雄は近寄らなかったが子供の世話はよくしていたし。ようは儂の性にあってるのは才の相手でなくコロナの相手ってことよ」
そういえば照れることも減ったな。なるほど。そういう理由だったのか。ケッ。つまんねぇ。
「それに、一番似合う
「?」
チラリと視線を向けたのはカナラ……か。
これもわからなくもない。リリンは体だけの関係で良いけどカナラはどっちかっていうと精神的な繋がりを重視する女だもんな。スケベだけど。
「とにもかくにも。あんなのにコロナを当てるくらいなら儂がやる。徹底的に噛み砕いてくれるわあの腐肉め。ガルル」
最後だけ喉が犬になってんぞー。顔面は人のままだから鳴き真似が上手いだけに見えて笑える。
「煙魔よ。お前もそう思うだろう?」
リリンとロッテの意見がわかれて現在一対一。いや実質コロナも嫌そうだから一対二か。ここでカナラが味方になれば完全に反対が優勢ってか?
ま、数的有利も意味がないのがリリンって女だけど。
ちなみに俺は中立。どっちでもいい。
コロナのことが心配じゃない……ってことでもないんだが。今のところ安定してるしな。
しかもあんだけのを隠し持ってたわけだし。試す必要があるのもわかる。
その相手がいきなり魔帝ってのが引っ掛かるから中立……って感じなんだよな。
ってことであとはカナラの意見だけが
「はぁ……。別に
「……」
おうふ。ロッテが正論で殴られて微妙な顔になってる。
でも確かにそうだよな。こいつらの性格的に共闘できないだけだもんな。うん。
「じゃあ……コロナにやらせてみるか」
「っ!? いや!」
お。ちゃんと「嫌」って言えてる。どんどんしゃべれるようになって偉いぞー。よしよし。なでてやろう。
「んむぅ……」
ハッハッハ。誤魔化されまいとしてるけど。口角上がってんぞー。チョロいなぁ~まったく――。
……あれ? そういやカナラの自分の呼び方って……『うち』だったか?
あれ……なんか俺……大事なことを忘れて――。
「坊」
「おい」
「ん?」
リリンとカナラ……。なんでそんな真剣な目でこっち見てんだよ。てか。
「今ちょっと大事なこと思い出せそうだったんだけど?」
「……なぁ~んでこのタイミングでそんなことしてるんだお前は」
「いや……ふとそういう瞬間とかあるだろ? なんかのキッカケで思い出すーみたいな」
「ない」
「
んだよ。味方ゼロですか。ロッテはロッテで意見が通らず灰音と戯れ始めてるし。
はぁ……。まぁいいや。
今の俺が思い出せないってことは思い出す必要がないってことなんだろうよ。素直に忘れてやるさ。
さて、アレクサンドラの言いつけも守って試合は見たし。デュアメルのことも大体決まったところで。
明日は結嶺を迎えにいかなきゃだし。さっさと寝るかな。
寝る必要ない体だけど。
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