第399話

「明日はコロナで決まりとして。他はどうする?」

 あ、ついでにリリンも一つは決めてるみたいだから。それも省いて良いのか。

 他には特にリリンは警戒してないようだし。言及もしてないわけで。

 なら適当に気分で割り振るか?

「今日佐子がやったヤツ。あれは儂がやる」

「ん?」

 これは……意外な立候補。

「珍しいな。ロッテが積極的なの」

 どんなことでも受け身で、どんなときでもフォローに回ってくれたり世話を焼いてくれる良いヤツなんだけど。あんまり自分を押し出さないから本当に意外。

 あれじゃないか? こいつが何かしたいとか言うのって料理を覚えたいつった時だけな気がする。

 それも俺が解決したんじゃなくてカナラが来てからなぁなぁで願いが叶った感じだし。

 まぁどちらにせよ、やってくれるならありがたい。

「わかった。お前に任せるわ」

「でも、なんで? リリンが興味持たないし、俺から見ても他と比べればってだけで別に大したヤツじゃ……」

「なぁに。色々と試したいことがあるんだよ。そのためには多少丈夫なほうがいい。儂も部屋で今日の試合は見てる。適した相手なのも確認済みだ」

「ほう」

 ただ家事と子守りをしていたわけでもないのか。ロッテもロッテで色々考えてるんだなぁ~。

 って、言い方はさすがに失礼か。口にしなくてよかったよかった。

「他にやりたい相手いるか?」

「いや、儂はもういない」

「コロナは……」

「にゃあ~にゃあ~」

 甘えてくるだけで特になしと。

「んじゃ残りはリリンに――」

「断る」

「すぐ終わるから良いだろ……」

「それは我以外でも同じだろ。ロゥテシアでもコロナでも適当に任せれば良い」

「……」

 それはそうなんだけども。

 ロッテは家事に子守り、コロナはおつむが子供ながら灰音の世話とかしてるし。

 お前だけだからな菓子食ってゲームして好き勝手してるの。

 そこんとこわかってる? ん?

 そりゃあワールドエンド認定のお陰でコロナのおやつ代もそっから出してもらってるけどさ。

 あと地味に食費とかたまにガチでお金ないから服の無償提供が無理ってときに先輩に謝礼出したり。

 ……思ったよりも色々してんなこいつも。主に金銭面で。

 いかん。これは文句が言える立場じゃないぞ俺。

 良かった~。反論される前に気づけて。

 手痛い反撃食らうとこだったわ。

「どうした? 黙り込んで。反論は終わりか?」

「なに言っても無駄ってわかっちまったもんで」

「なら最初から突っ掛からなければ良いものを。ま、最初に比べればマシだが」

 最初……ね。そりゃそうだろ。あん時はまだちゃんと純粋な人間だったし。今はお前の脳みそも投影してっから察しが良くなってんだよ。

 ともあれ、三戦の面子は決まったけど残りは未定。

 つっても実はすでにいくつか棄権されてんだよね。

 さっき決めた三戦中リリンの以外は特に反応はないけど。もしかしたら明日とかロッテの試合内容次第でまた棄権が増えるかも。

 そしたら決める必要なくなるし、できれば諦めてほしいね。

 悪いけど、もう学園内じゃこいつらの相手できるのいないんだよ。

 ……学園長以外、な。

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