第257話
学園公開つっても俺たちには特に義務なんてない。
来客は勝手に学園を見学し、案内役の教師を除けばあとは各々自由にもてなすって話。
と、かな~り緩い感じではあるけども。迷惑なことに土日は普通の文化祭みたくしたいという生徒が多数いるようで、学園内はすでに騒がしい雰囲気。ほとんどがノリノリである。
こんな空気でヤツが黙ってるはずもなく……。
「うぉぉぉぉぉぉお! 祭りじゃあ! 者共ぉ! 月末ははしゃぐぞぉい!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」」」
午後の授業が終わって教室に戻ると、クラスメイトたちは教室に集まって伊鶴を中心に大騒ぎ。めっちゃ学園公開に乗り気だ。
まぁ、こいつらいつも暇してるからなぁ~。未だに午後の授業サボってるから俺たち以外。自分らも参加できるイベントは楽しいんだろうよ。
ちなみに伊鶴が中心の理由は交流戦の影響が大きい。ある意味で一番根性見せてたし。なのに午後サボったままなの本当笑える。ゴミかな?
「せっかくの祭り! 盛り上げるために! お客さんに楽しんでもらうために! 我々は力を尽くすのだ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」」」
いちいち雄叫びを上げるなうっとうしい。
「はぁ……」
思わずため息が出る。正直逃げたいわ。
だけどそれはなぜか許されてない。おかしな動きをしたら伊鶴がすぐに目で脅して来やがる。
俺こういうの嫌いってわかってんのに無理矢理付き合わせやがって。良いじゃねぇか帰してくれても。
学園側が自由にやって~つってるんだからやりたいやつでやってろっての。
「はぁ~……ん?」
何度目かのため息と同じタイミングで端末にメッセージが。差出人は……久茂井先輩?
『公開日という名の文化祭に向けてテンション上げたいからコロナちゃまと桃之生ちゃんを連れてきてくださいお願いします』
「……」
先輩からお願いをされてしまった。土下座の画像付きで。
あの人もあの人で自分の
さてさて、ここで択だ。
伊鶴の恨みを買って先輩のほうへ行くか。
土下座で頼んできた先輩を無視するか。
二人とも無視して逃げるか。
………………………………………………。
よし、先輩のほうへ行こう。
低姿勢ってことはうざ絡みする余裕も内だろうし。俺よりも二人に用があるだろうしな。両方無視するよか片方だけでも話を聞いといたほうが良いだろ。
ってなわけで。
「カナラ。先輩に呼ばれたから行くぞ」
「はれ? でも伊鶴ちゃんまだお話しとるけど……」
「かまわん。ほら、はよ」
「あ……//////」
手掴んだだけで照れるんじゃない。裸で触れ合った仲でしょうが。
「あ!? おいさっちゃん! 」
「先輩に呼ばれたんだよ。元々やる気ないしあとはお前らで勝手にやってろ」
「あ、ちょ!? 待てこらぁ!」
なんかうるさいのが数人に取り押さえられてる気配はするが……振り返ってはならない。俺たちはただ前を見て歩み進むのだ。
「ぼ、坊……。強引やな……//////」
「……」
いつまで照れてんだよ。てかお前はちょっと黙って俺についてきといてくれませんかね? 誰かに聞かれたら面倒なので。
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