第192話
「はっはっは! にしてもまさか素直に才が殴られるとは思わなかったよ!」
「はっはっは! この根性なし死ねよって思ったけど油断を誘っての不意打ちが目的だったんだなこの外道!」
「黙れ
ミケにビビってナンパ男たちは退散し、飯にありつくことができた。
ただやっぱりというべきかなんというべきか。伊鶴のテンションが下がらない。いつもっちゃいつもだけど。
「仕方ねぇだろう!? 根拠もなく自信満々で他人に迷惑かけてもなんとも思わないバカなんてクソだよクソ! 迷惑かけちゃうのは仕方ないとしてもわざわざ進んでやるとか意味わからん!」
「「「え……?」」」
「なんで皆おまいう的な目で見てくんの!?」
そりゃあそうだろ。普段周り振り回してる側じゃねぇか。既知の間柄はともかくたまに騒いで周りにも迷惑かけてんじゃねぇか。
「納得できねぇ! 納得できねぇ! 」
今のそれもだよ(怒)。騒音撒き散らしてんじゃねぇよっ。
「と、ところで! 才くんはぶたれたところは大丈夫ですか?」
「そういえばそうだ。普通に食事をしているが平気なのか?」
これ以上同じ話題だといけないと思って八千葉が変えにかかった。夕美斗もそれに乗っかってくる。
……たぶん、夕美斗は天然で聞いてるなこれ。
「別に。特にケガとかはしてねぇよ。打ち所が良かったんじゃね?」
「打ち所というか単純に効かなかったんじゃないの?」
「……」
多美さんジト目で言うのやめてください。怖いです。あと図星つくのもやめてください。迷惑です。
「クハハッ。それはそうだろう。既に人畜生の殴打でどうこうなる次元ではないだろうよ」
ナチュラルにバラしてんじゃねぇ大食いロリババア。演習やら授業である程度バレてるとはいえ、たとえ知り合いであっても変な注目のされ方はされたくないんだっつの。
……いや、いっそ人間やめてるって知られた方が敬遠されるのではなかろうか? 意外とありかもしれない。人付き合いも覚えていこうと思ったけども。他人から離れていくなら仕方ない的な。
「何故だろうか。ろくなことを考えてなさそうな顔に見える」
「おうそうか食べさせてほしいんだなコロナほらあーん」
「っ! あ~♪」
ロッテ、お前も図星をつくのをやめろ。ついコロナを逃げるために使っちまっただろうが。せっかく膝から隣に移動させて一人で食わせてたのに。
「ふんふん♪」
「それはダメ」
「む~……」
ほら! 調子乗ってコロナが膝に乗ろうとしてくる! お前のせいだぞロッテ。責任取れ。
「ところで興味があるんですが。聞いても良いですかミスロキシー?」
「ん~? なんだいマイク。生憎だが経験人数は答えられないぜ?」
「そんなことは聞かないよ!?」
黒い肌だからわかりづらいけどものすっごい赤面してるな。純情だけど言葉の意味は知ってることにムッツリを感じる。
「ご、ごほん。僕が聞きたいのは、何故才がなぐられるようなことが起きても静観してたのか、です」
「あ~それは私も気になる。サンディなら私より先に飛び出してボッコボコにしそう」
「「「うんうん」」」
「アッハッハ! 何気に酷くないかその評価? ミーはそんなバイオレンスな女に見えるかい?」
バイオレンスっていうか全体的に積極的な感じがするよあんたは。そう全てにおいて、だ。あ~いうトラブルも含めて。
「まったく。心外ってやつだね。まるでミーがトラブルメーカーのような言い草。傷ついたぜ」
「……」
珍しく伊鶴が静かに顔面だけで抗議してる。普段うるさいから口開かない方が怖いなお前。
「あ~つまんない~……。楽しくない~……。二週間しごかれた挙げ句に頭から海に突っ込まれるわ天使怒らせちゃうわ変なのに絡まれて午前終了とか報われない~……。二週間頑張ったご褒美ほしい~……」
うじうじいじけ始めたな。うざい。
他の連中はわかるわ~って顔だけども。
「確かに色々ゴタゴタしてリフレッシュの面では……うん。あまり出来ていないだろうな」
「僕もまだ才と遊べてないし消化不良だよ」
「私たちは浜辺でのんびりしようとしてしてたのである意味やりたいことはできてましたけれど」
「さすがに少しは体動かさないとガチガチになりそ。ナンパもうざいし。……誰がビッチだっての」
「あ~ね」
「納得してんな!」
「いでっ!」
「わかったわかった! 落ち着けボーイアンドガール」
いや騒いでるのは伊鶴と多美くらいだよ。主に伊鶴のせいで。俺たちは静かだろうが。
「ユーたちの気持ちはわかったよ。なので、午後からはミーが一肌脱ごうじゃないか。伊鶴たちがナンパにどう対応するか気になって黙って見てたお詫びもかねてね♪」
さりげなく最後にミケの質問の答えを言ってたな。好奇心ってだけで黙っとんたんかい。
これでそのお詫びがくだらないことだったら俺は帰るからな。
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