第2話

「えっと。それじゃ学園長失礼します。説明会まで時間もありませんしこれで」

「うん。何かあればご連絡ください。リリン様もなにか不都合があれば改善いたします。国からも援助があるでしょうし」

「ウム。しばらくはこの世界を堪能させてもらう。であれば機会もあるだろうよ」

「……びぇぇぇぇええん! ごわがっだよぉー!!!」

 扉を閉じた途端学園長の泣き叫ぶ声が。

 そら世界を壊すようなヤツが近くにいたんじゃ生きた心地がしないだろうしな当然っちゃ当然か。

 俺はというと……まだ追い付いてないっていうか。落ちこぼれの俺のマナがこの怪物扱いの幼女が認めるほどのモノってのがな。

 そのせいで未だにちんちくりんの態度がデカい幼女としか認識できない。時間が解決するだろうかこれ。

「にしても。契約を結んだ途端に力がかなり落ちたのを感じたな。ここまで自分を弱く感じるのは初めてだ」

 幼女ことリリンとの契約内容は実に簡単なもの。

 なにせほぼ無条件で俺に力を貸すことだからな。

 リリンにとってこっちの世界にいることがもうメリットらしい。家とか平気なのかよ。

 そして学園の規則で学園内では契約者、この場合俺だが。の、マナを使用してでしか力をまともに行使できないよう契約内容に追加された。でなければ生徒の育成に弊害がでる場合があるからだとか。無制限に力を貸したらそら俺のすることがなくなってしまうし妥当だろう。本人も特に不満は無いようだし。むしろ。

「新鮮だな! 弱すぎるというのは!」

 楽しんでるわこの幼女。良い笑顔しやがって。

 整いすぎた顔でハツラツとした顔されるとなんか違和感いっぱいで気持ち悪い。

「貴様今侮辱したか?」

「……別に」

 するどっ。どんな勘してるんだ。

 学園長の年齢当てたり、マナ感じとったり、ほとんど見ずに攻撃止めたり。

 ……よく考えたら十分化物要素満載だわ。

 ただ、落ちこぼれが染みついた俺の相方ってのがな。

 やっぱ認められないんだな。

 今までのこと考えたら簡単に認められねぇよ。

「ところでだが。説明会とやらの時間は良いのか?」

「あ。あと十五分しかねぇ! 視聴覚室までかなり遠いってのに! 急ぐぞ!」

「お、おう?」

 今は考えるのはよそう。とりあえず俺は今夢へ近づけたんだから。



「ぜぇ……ぜぇ……ま、間に合ったぁ……」

「貴様……なぜ呼吸を乱している……。これもラビリンスが脆い故か?」

 また新しいワードが出たが今は構ってられん。息が苦しいんじゃボケ。

「ふぅ……。とりあえず席は自由みたいだしどっか適当に座るぞ」

「ウム」

「アナタ。少し良いかしら?」

「はい?」

 息を整え席に座るとすぐに金髪の女子に話しかけられた。顔立ちから外国人とわかる。ハーフという可能性もあるけど。世界初であり唯一の召喚魔法の学校だしいて当然っちゃ当然か。召喚魔法師として学ぶならここしかないわけだし。それで、何の用があるのだろうか。ナンパか?

「時間ギリギリ来たのは良いとしましょう。初めての場所で不慣れでしょうし。息を切らしているのも見苦しいですが良しましょう。遅れまいと急いだ結果でしょうから」

「は、はぁ……それはどうも?」

「ですが、女性を連れてとはどういうことでしょう? ここは学舎であってカフェではありません。仮に契約者であるならば敷地にいるのは不思議ではございませんが、同時に元の世界か学園が用意した別室に待機が道理ではなくて?」

 お、おう……そういうことか。ナンパじゃなく注意ね。

 たしかにこの育ちの良さそうな金髪女の言う通りだと俺も思う。うん。俺はね。だーがこの幼女様はどうだろうか。嫌な予感しかしませんなぁ。

「知ったことか。貴様に指図される道理もなかろうが。でしゃばるなよ畜生」

 だよねぇほらねぇ。思ったけどコイツ俺以外には比較的キツい。

 質問とかしても俺のには答えるけど最初の教員のやつとか荒っぽい対応してたもんね。縛るっていう。

 学園長には割りと丸い対応してた気はするけど。何が違うのか。態度? 低姿勢だから良かったのか学園長。

「……私はこちらの男性に話していたのですが?」

「我についてのことを糾弾していたのだから我が答えておかしなことがあるか雌畜生」

「この際態度改めろとか言わないけどせめて挑発すんなって……」

 畜生言い過ぎだぞお前! どんどん怖い顔になってくじゃねぇか。これでトラブルになって初日から問題行動扱いとか嫌なんだけど。勘弁してもらえません?

「私はそれなりに寛大だという自負がありますが――」

「入って早々に絡んでおいてか? 過大過ぎる自己評価もあったものだ。滑稽」

 ブチン。と、聞こえた気がした。絶対今のでキレたって。

「もういいです。会話のできない者には力ずくしかありませんから」

「それについては同意見と言わざるを得んな」

 突然金髪女子の周りの空間が歪む。リリンが現れた時ほど大きくないが小さいのがいくつも。

 え、ちょっ。なにする気ですか。

「アグニ。追い出しなさい」

 口にした瞬間歪んだ空間からナニかがいくつも飛び出し俺とリリンに向かってくる! リリンはわかるが俺もですか!?

「ふんっ」

 つまらなさそうに鼻を鳴らすと影を伸ばし全て体に触れる前に絡みつき抑え込んだ。よく見ると向かってきたのは植物の蔓か? というか複数の攻撃も同時に対処できるのかコイツ。しかも今回もほとんど見ずに。どんな芸当だよ気色悪い。

「この……! ひっ!」

 金髪女が続けて攻撃の意思を見せた瞬間俺たちと金髪女の間に閃光が走り金髪女を怯ませる。閃光が向かった先を見ると壁にペンが刺さりめり込んでいた。

「うるさいぞガキ共。説明会の時間だ適当に座れ」

 いつの間に視聴覚室の最前列席付近に立っていたのは黒髪長髪を後ろで括ったセンター分けの若い男性。一瞬女性にも見えたが声が低音で完全に男のものだったから判別できた。男物のスーツを来ているがスラッとしているので後ろ姿だけだと絶対どっちかわからない。そんな印象だ。

「で、ですが先生! この場に部外者が……!」

「ふぅ~……」

「……っ!?」

 溜め息をつき胸ポケットのペンに触れた瞬間腕がブレて閃光が走る。閃光は金髪女の頬をギリギリかすめないように通りすぎ、壁にめり込んだ。

 やはりこの先生。人域魔法師か。しかもペンをこの威力の武器に変えるほどの超一級品の実力者。

まさか召喚魔法師育成のために一流の人域魔法師を呼んだのかよこの学校。頭おかしいのか? 人域魔法使えないから召喚魔法学ぼうとしてるんだけども?

「座れ」

「わ、わかりました。申し訳ありませんでした」

 今度は反論せずに少し離れた席に座る。そりゃあんなことされたら誰でも大人しくなるよな。俺も内心チビらなくて良かったと思ってる。ギリセーフ。

「ほう。アレもなかなか良いマナをしている。特に流れが良い。洗練されている」

「……」

 チラリとこちらを見てきた。恐らくリリンが口を開いたからだろう。

 おいおい先生とまでもめるのはやめてくれよ本当に!

「すまない。口を閉じるからこの場にいることを許せ」

「……仕事の邪魔をしないならかまわない」

 ……ほっ。良かった。今度はなにも起こらずにすんだ。

 チッ。ふざけんなよこの幼女。心臓に悪いだろうが。

「そう怒るな。少しだけマナが多く流れてきて思わず喘ぐところだったぞ」

「……っ」

 喘ぐとか言うんじゃねぇよ! そのサイズで!

 つか器用に俺にだけ聞こえるような絶妙な音量でしゃべりやがって。

 クソッ。色々言いたいことはあるが、今度は俺自身が標的にされそうなので今は黙るしかない。覚えてろよこのバカ幼女!

「簡潔に終わらせるぞ。貴様ら学園から端末は支給されているな。取り出せ」

 俺の内心をよそに始まる説明会。生徒全員ビビりながらも迅速に支給されたフルスクリーン型の携帯端末を取り出す。

 そら遅れてペン投げられたらたまらないからな。

「基本的にそれが貴様らの身分証明であり財布であり地図であり連絡手段だ。その他諸々あらゆることができるが知りたければ中にマニュアルがあるから読め」

 最後投げやりすぎませんが先生。誰も文句言えないけどさ。

 つまりは買い物できるし生徒手帳的なのもどっかにあるってわけね……って電源入れたら真っ先に身分証明のアイコンがあったわ。支払いと残高と地図も。

「今は残高はないだろうが説明会が終わり次第十万振り込まれる。明日の予定とクラス分けもな。振り込まれたら貴様らの月の生活費ということを忘れるなよ。月に一度しか振り込まれないし学園経由でしか入金されんから使いきったバカは大人しく潔く死ね」

 元々静かだった視聴覚室だったが緊張感のせいでさらに静まり返る。アンタの死ねは怖すぎます。洒落になってないので。

「あとは地図に従い定められた寮に向かえ。その他支給された物もすでに届けられている。今日は試験に説明会と詰め込みすぎたからなあのポンコツ学園長。寮に行ったらまず荷解きをしろ。寄り道をして仕事を増やすなよ。ただでさえ私たちにはまだ仕事が山積みだ。チッ」

 雇い主にもスゴい悪態。ここまでくると尊敬するわ。

「明日の予定やクラス分けは夜にはメールが届くから確認しろ。以上だ。解散」

 話が終わるとすぐに部屋から出ていく先生。自己紹介すらなしですか。ドライ&クール。

 緊張が解けたのか徐々に生徒たちも部屋を出て寮に向かい始める。

 その際に金髪女に一睨みされたが、絡まれることはなかった。報復もなく平和的で僕ぁ嬉しいなぁ。

「あ~……。しんど……。あ~……」

 先生とは別の意味で詰め込まれた今日という日に思いを馳せる。

 半ば諦めてた魔法師の道に光明が見え。かと思えばなんか契約したのは学園長が出張るようなスゲェ幼女で。幼女なんか好戦的ですぐ挑発して。でもなんか強いっぽいからあっさり対処して。あれ? ほぼこの幼女のせいじゃね? 殴りたい。

「お前は寮とやらに向かわんのか? うめくのが好きならばしばらく待ってやっても良いが」

「……行く」

 殴りたい。誰のせいで呻き声上げてると思ってんだよ。

 まぁ俺は紳士なので殴らないけどな。決して反撃が怖いわけではない。怖いわけではないのである。



「おいおい。寮ってこれかよ……」

 学園の敷地はかなり広い。実習やら研究やらの建物も多いのはパンフレットで知ってたし寮の写真も見たことはある……んだけど。

「これホテルとかデパートだろ……」

 そうなのだ。見た目の雰囲気はホテルっぽいなぁ~とは思ってたが、サイズまでがそのまんま。確かに三年制五クラスに加えここには教員も何人か住んでると記されてた。一クラス二十から三十人はいるらしいから単純に百五十人以上住めなきゃいないからそらデカいよな……。にしても過剰だとは思うけど。

これ二十階建てくらいはあるぞ。本当に学生寮かよ。

「フム。やはり違う文化とは良いな。面白い形だ。これは中も気になる」

 たしかに気になる。どっちにしろ俺もここに住むことになるわけだし呆けてる場合じゃない。さっさと入って荷解きして休みたい。

 自動ドアを抜けるとまた驚いた。受付に案内板。案内板には一階の施設説明。ただの案内板ならば驚かなかった。だが内容を見たら誰でも驚く。

 なぜならトレーニングジム(プール付き)。大浴場。宴会場。売店。食堂(フードコート)。とか書いてあるんだもん。しかも食堂を抜けるとカフェテラスまであるらしい。ふざけんな。

 学生には過ぎた環境じゃないのか? 月十万の生活費はまぁ契約維持のための物資提供もあるとか聞いたことあるしわからなくはないけど。

 やめだやめ。考えるだけ無駄。現実を受け止めてラッキーって思っておこう。

 とりあえず自室に向かうとするか。えーっと地図で自室を検索すれば良いんだよな。

「お前の部屋は『1E24』らしいな。三階らしいぞ」

「……なんでお前が知ってんの?」

「我も貰ったからなこの小さな板。お前の契約者なのだから自室を調べればお前の部屋が出るのは必然であろう?」

「なるほど。いやなるほどじゃねぇよ。なんでお前がソレ貰ってんの?」

 生徒用のじゃないの? ソレ。

「フム。恐らく管理と貢ぎ物といったところだろ。どうもこちらでも我は危険生物らしいからな。少しでも機嫌を取りたいのだろう。その証拠にほれ、残高を見るが良い。これがいわゆるカネで好きなものと交換できるやつであろう?」

「ブッ!!?」

 二千万!? え!? はっ!? 今日一意味不明!

「だが貴様らのように月毎ではないらしいな。手紙? メール? には残高が尽きたら指定された額を即時振り込むと書いてある。カネの価値がわからんから尽きるかもわからんが」

「おぇ……」

 厚待遇過ぎるだろ。なにこの扱い気持ち悪い。

 学園の施設が充実とかどうでもいいわ。個人にこんな額ぶちこむのが一番頭おかしい……。

 でもそれだけ重要視してるってこと……だよな。俺もいい加減コイツについて色々考えた方が良いよな。

「ほれ行くぞ。貴様の部屋に」

「……あ、おい。待てって」

 ボーッとしてたらいつの間にかすでに一人で地図を見ながらずんずん進んでいやがる。置いてくなよ今から行くの俺の部屋なんだから!

 にしてもなんで『1E24』なんだろうな。三階なのに。



 どうやら部屋番はクラスと出席番号らしい。それも出席番号は入試時や進級時の成績順とマニュアルを調べたら書いてあった。つまり俺は一年E組で二十四番目。今年のE組は二十四人しかいないから最下位ってことだな。成績は基本的にマナ量。合否は召喚経験があるか、または実技試験の場で召喚できたかだから妥当だな。

 ちなみにだが部屋は1LDKくらいの広さがあった。もう驚くのにも飽きて来ましたわー。

「腑に落ちんな」

「なにが?」

 荷解きをしてると急に話しかけられた。ちなみにリリンはベッドで端末をいじってる。

「なにが腑に落ちないのか知らないけどよ。手伝えよ」

「断る。我はそれらを知らん。わかっても服くらいだろう。そして服は真っ先に貴様が片付けた。さらに言えば大したものもないだろう?」

 たしかに荷物は少ない。服は制服と運動着とジャージが三セット。基本土足だから靴も予備含めて二足。あとは簡素な食器とか調理器具。他にはシャンプーやボディソープに洗剤か。冷蔵庫などはさすがにすでに設置されてるから一人でも片付けはできる。できるんだが。

「気持ちの問題だ。なんか俺だけ動いてるの腹立つ」

「お前は気が立ってばかりだな。出会ってからほとんど頭に血が上ってるぞ」

「お前のせいなんだけどね主に。自覚ないのか」

「普段のお前を知らんからな。普段から短気ならば我が原因とも言えん」

「こんの……」

 女ってやつはどの世界でも口が上手いな! いや女も丸め込んでたからコイツが特別口が上手いのか? 力もあって頭も回ってめんどくせぇなぁおい。

「そんなことよりも、だ。貴様だ貴様」

「……俺がなんだよ」

「貴様そのマナでなぜ低能扱いされてるのかが腑に落ちん。基準がマナ量なのはわかった。貴様はたしかにマナの放出量はかなり少ない。我のいた場所のネズミと良い勝負だ」

 誰がネズミだ光栄ですね! バカにしてんのかこの野郎。

「が、しかし。密度は桁違い。先の時間ずっと測っていたが我より濃い。であれば内蔵マナ量も多くこちらでは魔法だったか? も強力なものが使えるはずだ」

 なるほどな。コイツにはコイツなりの基準があり、それはきっと俺たちよりも確実なんだろうな。だけど。俺たちには俺たちの事情がある。

「……お前のところでは知らないが。マナがあっても扱いが下手なヤツはいる。山ほどいる。魔法が使えないなんて当たり前なんだよ。それでも俺は……俺たちは召喚魔法に頼って魔法にしがみついてる。召喚魔法や契約魔法は勝手にマナを持っていって効果を発揮するからな。召喚していたら契約者にマナを送るイメージだけで良いし。それに……」

「なんだ?」

「俺は魔法を使うと体が壊れる。規模の小さい魔法はマナの制御が下手で発動しないから大きいのを試したことがある。そんとき目とか鼻とか手足の先の血管がぶち切れてしばらく入院する羽目になったんだよ」

 それでも親に心配なんてされなかったけどな。蔑んだ目で見られたのを覚えてるよ。

「フム。なるほど理解した。つまり貴様はラビリンスが複雑で脆くなってるのだな。直せば良いわけか」

「……は?」

 どういう意味だそれ。つかラビリンスってなに。

「それはわかってないときの声と顔だな。覚えたぞ。ラビリンスはまぁ身体中にあるマナの血管のようなものだ。それぞれ形が違ってな。我も集中せねばわからんが、貴様の話を聞くに間違いないだろう。お前はラビリンスが複雑。故にマナの扱いが他よりも難しい。そして脆い。故に酷使すれば肉体に影響が出て挙げ句暴発して出血。ラビリンスは肉体。特に血管と密接だからラビリンスが傷つけば血が出るのは必然よ。だがしかし、ラビリンスを鍛えれば貴様は魔法を使えるだろうよ」

「……いや、いやいやいやいや。さすがにそれは」

「事実であり真実。まぁ今すぐに納得しろとも信じろとも言わん。貴様は頭が鈍そうだからそれを求めるのは酷というものだ」

 今のはわかったぞ。絶対バカにした。

「……お前の話はほとんどよくわからないがとりあえず俺にも今後の努力次第で人域魔法を使える可能性があるってことでいいんだよな?」

「あぁ。といっても今すぐには無理だろう。これから召喚魔法を極めていくのだろう? それと同時に人域魔法とやらも極めることができるのか?」

「無理だな……」

 今までの経験が物語ってる。努力しても実ってこなかった。だから諦めて召喚魔法に手を出したんだしな。

 でも。可能性がある。それだけで満足できる。どんな形でも魔法師になれたら良いと思ってたけど。コイツの言うことが真実なら欲が出てくる。

「なぁ。ところでなんだが食事はどうするのだ? 我は取らなくても死にはしないが興味あるんだが」

 すでに興味が別に移っているのかベッドでゴロゴロしながら訪ねてくる。自由か。

「もう夕方になるし片付けが終わったら夕食にするつもりだ。あとは売店で細々した物でも買うかな」

 夜食とかおやつは補充しておきたい。俺は間食は欠かさない派なので。誰になんと言われようと譲れない部分。

「買い物、か。フム。ならば我もあとで買ってみるか。カネの使い方は経験しなくてはいけないしな。粗方物価と基本的な使用方法などは覚えたことだし」

 さっきからなにをずっといじってるかと思ったらこっちのこと調べてたのか。意外と真面目なのかもなコイツ。もし勉強でつまずいたら聞いてみよ。

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