47頁目 護衛依頼と別れ
「
「分かったわ」
早朝に宿を出た私はその足で王都ギルドへ向かい、芸術祭の為に来ていたエメリナの商隊の帰りの護衛依頼を受注していた。
コールラ達のように往復で依頼を受けるところも多いが、冒険者の中には片道だけ護衛してそのまま到着地で拠点を
ルックカから王都へ来た時のようにのんびり歩いて行くのも良いが、護衛ならば
同じような目的の冒険者は他にも多く、あっという間に王都を出て行く商隊の護衛依頼は次から次へと
私の受けた依頼も残り五人待ちであったが、
「よろしくお願いします」
銀二人銅五人の男女混合パーティで、皆エメリナ王国出身所属の冒険者とのことであった。
「あぁよろしく頼むよ。早速で悪いが、自己紹介も
「分かりました」
私以外は知った顔とのことなので、主に私の為にそれぞれ自己紹介していく。
エメリナ王国所属である銅ランクが、何故ジスト王国で依頼を受けられたのか。そこにはランク制限の穴がある。
銅ランク冒険者は数こそ多いが、かといって依頼も
自国を出発地として手続きすれば、一応形の上では自国内での依頼受注という形になる。逆に他国での活動は制限され、依頼も自国へ向かう護衛依頼しか認可されないが、国を超えて商売をする商人は少なくないので依頼数もそこそこあって人気である。
これは依頼をする側にも
もちろん、この制度があるからと全員が全員、依頼受注が出来る訳ではない。
パーティの
一方、ソル帝国とは貿易自体は行われているが、護衛が出来るのは国境までとなっており、線より先は、また別の冒険者が護衛を引き受けるという形になっている。あまりその
また、飛び地で友好を結んでいる国同士の場合は、間に
「それにしても、あの『
銀ランクの一人、年配の人間族の女性冒険者がそんなことを言う。もしかして私のトラブルメーカー具合って結構広まっていたりするのだろうか。というか隣とはいえ他国にまで知られているとか黒歴史過ぎる。
一応そのことを確認すると、最近の
「問題ないだろ。それに実力はこの中で誰よりもあるんだ。頼りにさせてもらうぜ?」
もう一人の銀ランクの冒険者、
それに同意するように他の銅ランクの男女も好意的に
ギルドから出た私達はそのままの足で集合場所へ向けて歩く。その道中も噂の真相だったり、どんな魔法が使えるのかだったりと
周りを見ると
集合地点には
冒険者六人編成なら各車に二人ずつ割り当て、先頭と最後尾に銀以上を配置するのだが、今回は金が一人、銀が二人、銅五人である。そこで商隊と話し合って、パーティリーダーが先頭車、狐獣人の男性が最後尾、私が真ん中となり、銅を前から二、一、二と振り分けた。
私が真ん中の理由は、弓矢に雷魔法と後方支援が出来ることから。一応狙撃銃も持っているが、このことは明かしていないので数に入れない。
同乗している銅ランクの冒険者も、クロスボウを持っているので後方支援としてこの車両だ。チャロンの持っていた
そんなことを考えていたからか、編成の最終調整に入っているところで「教官?」と声を掛けられた。
「チャロン?」
「はい!」
噂をすれば影どころではない。むしろ予知か予言の
「あなた達も今日出発?」
「はい、ルックカへ戻ります」
「そう、気を付けてね」
「ありがとうございます。あの、教官もあまり無茶し過ぎないように気を付けて下さい」
「あーうん、
こればかりは私の運に左右されるのでどうしようもない。
そう答えると彼女は怒ったように
お互いに出発の時間だ。もう声を掛け合うことは出来ないので、私は軽く手を振ると元教え子達は、それぞれ手を振り替えしてくれた。
「元気で」
その
おかしいな、死なない為に無茶すると殺されるとか……
「うん、深く考えないようにしよう」
冷や汗が頬を伝っていくが、気にしないことにする。
お互いの馬車は、出発地点こそ同じであったが、そこからすぐに別々の門へ向かって方向を変えて離れていく。
馬車の
「よぉーし! 出発するぞぉー!」
「「「おー!」」」
東門でチェックを終えて通過。
西のタルタ荒野と違い、王都の東側は割と自然
そもそも王都はタルタ荒野とシジスセ草原との丁度
それ以上に一〇〇年程前に武力で独立し、現在でも差別的思想の強い、南部のソル帝国へ
ジスト王国南部の地方都市ガルチャの役目は、万が一帝国と衝突した際の拠点、
前世の地球でも戦争は完全になくなっていない。戦争の仕方は変わっているだろうが、武力にお金がつぎ込まれ、それで
今でこそジスト王国は平和だが、それが他でもそうとは限らないし、またジスト王国もまたいつ戦火の中へ身を
のんきに旅をしている私が言うのもなんだが、極力戦争にはならないように努力してもらいたいものであると、流れる
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