夕焼けの人
@emiko1970
第1話
私には父が二人いた。
もちろん、一人は実の父親。
が、事実上の父は別の人だった。
父は、若い大工さん。20歳前のせいぜい18歳か19歳。
工務店を営む我が家に住み込んでいた。
我が家といっても、立派な一戸建てでもない。
小さな文化住宅の2DKに、二人の男と一人の女。
それに兄と私の幼児二人の合計四人が住んでいたのだ。
それはひとえに、母である姑の異常な嫉妬からだった。
新婚の長男夫婦を、なるべく交わらせまいという算段だ。
当然ながら、成人男女のつがいである夫婦とヤスさん―それが男の名前-は別部屋となり、布団が敷き詰められた狭いひと部屋に、幼女の私と年子の兄が、ヤスさんとともに寝た。
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