ドラゴンと逆襲の異世界勇者~これがお前たち、いや、この世界への逆襲だ~

こぱTN

裏切りの異世界転移編

第1話 アフター5

「があああぁぁぁ!!!・・・クソッ・・・」


なんなんだよこれは・・痛い・・いや、熱い・・左・・腕?・・肘・・下が無い・・・


血?血は・・!?黒焦げだ・・痛い 熱い 痛い 熱痛い





ズクン





あ?左目・・?見えない?えっ?なんで?左手でかばってそのまま?・・クソッ・・痛てぇ・・・


ああ、そうか思い出してきた。あいつ・・・いや、あいつらが・・・!!














「「「「お疲れーーー!」」」」


カシャン、とジョッキの合わさる音が響く。


まぁそれなりに飲める方だから酒は嫌いじゃない、けどメンツがなぁ。


俺の名前は須藤銀次すどうぎんじ最近あるそれなりの企業に入社した新人サラリーマンだ。


趣味というか好きな事はゲーム、中でも古き良き時代のRPGってやつが好きだ。話題のFPSなんかもやってみたが速攻でやられて何度も練習したがそこまで上達しなかった。


友人は多くはないがたまに飲みに行ってはだらだらとゲーム話が出来る友人も数名いるな。


そんな俺も入社から6ヶ月程たったが同期入社の連中とはたまに親睦会という名の飲み会がある。


先にも言った通り酒自体は嫌いじゃないけどメンツが少しかったるいので俺は毎回参加ではなくちょくちょく断っていたんだよな。





「6人集まるのは久しぶりだな、特に銀次はな。仕事はどうだ?頑張ってるか?」





「まぁ、ね。勇人は相変わらず相当利益あげてるみたいじゃないか」





気を使いつつもフランクに話しかけてくるのは入社してすぐに営業成績を派手に伸ばしている神宮寺勇人じんぐうじゆうとだ。


俺は事務方で社内ではそこまで接点はないがサラサラ髪のイケメンで仕事は出来る人当たりもいい将来有望な若手社員となればそりゃあ社内外で絶大な人気がある


噂ではファンクラブ的なものが存在するらしい。





「そんな事ないって。お前ら事務方がいるから俺たち営業はガンガンイケるんだからさ」





「・・・そっか」





「そうだぞ!だから頼むぜ!この前みたいに伝票蹴らないでくれよ!あの月は金なくて困ったんだ!」





そういってガタイと同じくかなりの声量でまくしたててくるのは加瀬亮汰かせりょうた


以前交際費と称してセク○ャバや○俗の領収書を俺に回してきた短髪筋肉男だ。





「いや、さすがにあれは落とせないって。後でお上からつつかれるのこっちなんだから」





「固いぞ!それで数字上がってるんだから文句いうなって!利益あげてお前らに飯食わせてるのは俺たち営業なんだぞ!」





確かに亮汰も数字は取る。かなり古い手法だが食わせて飲ませてetcで数字をあげるのだ。


それでも会社、社会のルールの中で落とせないものは無理だ。やりようによっては通るかもしれないが俺はそんな事したくないしばれて減給へたすりゃ解雇なんてまっぴらごめんだ。


俺は2人みたいにインセンティブなんて無いんだからコツコツやるしかないんだよ。





「やめろよ亮汰。こういう場で上下言うの。銀次だって自分の仕事にプライド持ってやってるんだよ。なぁ?」





「まあそれなりにね。」





・・・こういう場で、ね。


俺は知っている。回りは気づいていないと思うが勇人はたまに思いっきり人を見下した目をする事を。





「さすが勇人様!利益を作らない事務方も認めるその度量とお優しさに私感激ですわ!」





そう言いながら勇人にしなだれかかっているのは姫崎グループ令嬢の姫崎杏奈きざきあんなだ。


悪気があるのか無いのか知らないが言い方がウザいな。


金髪でウェーブのかかったロングヘアーで顔もスタイルもそれなりなんだがなんでこいつはうちの会社に入ってきたんだ?稼業を継ぐかそもそも仕事なんてしなくていいだろう。


おおかたしばらくは親元を離れてプラプラしたいんだろう。実際こいつが仕事をしている所見た事ないし。


髪色はいいのかよ。超縁故採用のおかげで誰も言えないんだろうな。





「っていうかウチが素晴らしい製品作らんかったらあんたらの売るもんないって事わかっとる!?」





妙な関西弁を使って胸を張る女性は西城香織さいじょうかおりだ。


茶髪のボブカットで元気印を地でいった感じ、同期の中で唯一工場勤務をしている。うちの会社は膨大な敷地内に工場もあり生産販売も一括でやっている。


西城も元は総合職希望だったらしいが土壇場で自ら工場希望に変更したそうだ。


ちなみに生まれも育ちも東京っ子である。関西弁は魂だそう。


それに製品作ってるのはお前一人じゃないぞ。





「香織たちが作って勇人くんたちが売って銀次くんが処理して会社は回ってるんだよね。やっぱりみんなすごいなぁ。」





と秘書課の東雲真弓しののめまゆみがうんうんとうなずきながら酒を飲んでいる。


おや、あれは日本酒、それも大吟醸じゃないか。乾杯のビールの後すかさず日本酒行くとは・・・


ハッキリ言って彼女の容姿は相当レベルが高いと思う。


黒髪セミロングで少したれ目だが整った顔。スタイルは出るところは出ているが引っ込むところは引っ込んでいていわゆる細身のグラビア体系か。


俺を含め憧れてる男性社員は数知れずだろう。





「まゆまゆだって社長付きの専属秘書やん!スケジュール管理とか大変やろ?社長の代理でいろんなとこで交渉事してるみたいだし。・・・うーん。っていうかやっぱりまゆまゆハグするの癒されるわー」





うちの社長はめんどくさがりで「東雲君適当にあしらっといて」で色々丸投げすることが多いらしい。うまくいってるみたいだがいいのか。それだけ信頼されてるって事なんだろうけど。





「それに伝票等を処理してるのは須藤さんだけじゃありませんわ。」





西城が東雲さんをモフモフしながらじゃれていると姫崎がムッとしながら言った。


まあ言ってることは間違っちゃいない。他にもやってる人がいるのは当然だ。


ただ西城の時にも言えよ。というかお前は何もしてないだろ。





「あっ!こ、言葉のあやだよ!って香織、大吟醸がこぼれちゃうよ~。それに交渉とかじゃなくて世間話してるだけだって。」





「お、なんや?ここのやわらかいのは?こうしたる!うらやまけしからんで!」





「やめてやめてくすぐったいよ!大吟醸!大吟醸が~!」





そんなに大吟醸の方が大事なのか東雲さん。まあいいか西城お前はいい仕事したよ。


隠れて西城にサムズアップしていると勇人が





「香織ちゃん、真弓が困ってるだろう。さぁ来週からまた頑張って仕事出来るようにもう一度乾杯しよう!」





「そうだな!来週も売りまくるぜ!」





「勇人様と一緒に頑張りますわ!」





「ウチもめいっぱい仕上げるでー!」





「うふふ。そうだね。みんなで頑張ろうね!」





「ぼちぼち伝票やら原価計算頑張るよ」





うちの年代の同期はかなり個性派揃いだけど優秀だと客観的に見て思うよ。俺以外。


一部強引だったり、何もしてないやつがいるけど会社としては間違いなくプラスだろう。





「よし!それじゃあ「「「「かんぱーい!!」」」」











バキンッ!!!











急速に目の前が真っ白く染まった。


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