第5話 不審者と思われ牢に入れられる

ガシャン

「あーけーてー」

ガシガシ

「狭いよ暗いよ怖いよー」

シーン

時間潰しのスマホを取り上げられてナビィも居ないしこれからどうしようかな?

「突っ込んでくれる人が居ないと間が持たないよー」

そりゃこの世界に来てすぐだから、こちらの常識が無いのは仕方ない。けど、門で「異世界から来ましたー」って言っただけでこの扱いはないと思う。

「hey!道彦さん」

ナビィの声が聞こえるけど気のせいだろう。気が狂ってきたのかな?

「狂っていませんよ。道彦さん、ここです、紙の剣です!」

え、牢屋に入れられる際に荷物全部取り上げられたのに、紙の剣だけは笑いながら「こんなの持ってても取り上げても意味ないだろう。護身用に持っとけよ」って大笑いしながらパンツ一枚と紙の剣で牢屋に入れられたという悲しい話は置いといて、紙の剣を目の前に持ってくる。

というか折れてるし。

「ナビィ?無事だった?」

「自分の事を置いといて他人を心配するのは良いですが、もう少し回りを見てくださいよー。牢守りが怪しんでいます。」(ここからは念話で話しましょう)

(それで?これからどうすれば?)

(口が動いてますよ。私は貴方が思えば読めますのでスマホからそんなに離れていなければこの紙の剣から指示を念話で送ることが出来ますよ判りやすく言えばアンテナですから。その紙の剣)

(ok把握した。で、壁ぶち破って逃げると社会的に詰んでしまうだろうし大人しくしとけばいいかな?)

(どのみちこの壁はアンチスキル壁だから今の貴方じゃ壊せませんよ。)

(現実的な話で、まずどうやって抜け出すの?)

(誰も引き取り来ない人は公営の犯罪奴隷競売にかけられて、犯罪奴隷として一年も過ごせば自由になります。引き続き解放奴隷として働くもよし、新しい処と交渉して雇われるもよし、冒険者ギルドに登録して初心者教習受けて冒険者になるもよし、奴隷といっても犯罪奴隷のランクAである借金返納出来なかった人扱いなんで、簡単に解放奴隷となれますよ)

ここでナビィに色々と聞いてようやく仕組みを理解することとなる。

この世界の国では産まれたときに手に見えない紋章(大概産まれた国名と国旗の紋章)がつけられて、各国で国境を抜ける際に、お金を払い入国するとその紋章に情報が追加されるのだそうだ。

(ふーん、だから紋章を持ってない俺は他国から国境を秘密裏に越境したか、産まれたことを隠されている人かとか聴かれた訳ね。しかし、嘘ついて入国してもばれるんか?)

(貴方が言ったように異世界から来たと正直に返答したからよかったけど、嘘ついたら詐欺罪が追加されてたわよ)

(怖っ。そう言うことは先に言っといてよ!)

(言おうとしたら貴方が門に向かってドタドタ走っていくから止められなかったのよ!)

(あーそれはすみません…なんかお腹空いたし、料理の匂いって足が勝手にそっち向いちゃうじゃない?)


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