「俺」というしがない男の人生記

@NORRY

第一話 はじまりとおわりの夢

はじめまして。皆さま。

これからつまらない物語を書いていくよ。なんせ主人公は何の取り柄もない男の「俺」だしね。まあ、だからこそ色々と生々しい事も書きやすいのもあるけれど、どうか温かい目で読んでくれると嬉しい限りです。


とはいえ、まずはどこから話そうか悩む。

どうしよう....考えても無駄に時間ばかりが過ぎていく。物語はスタートが肝心なのは分かってるけどこれは人生記、正直言って生まれた頃の記憶はない。

ふと思い出したことがあるんだけど、これが物語スタートに相応しいのかは微妙だけどとりあえずやってみよう。


それはもうずいぶんと昔、3〜4歳くらいの頃だったかな。当時よく見ていた不思議な夢のお話。


そこは夕焼け空がとても綺麗で、見渡せば無限に広がる草原の丘があって、地平線の彼方まで伸びている一本の細道と信号機のように立っている看板のようなものがあった。その看板には何やら書いてあるようだが文字が読めなかった。

その場所は何だか懐かしい感じがした。とても心地がよく、魂がふわっと浮いているような...五感では表現しにくいような感覚でとても気持ち良かった。

ずっとここにいたい...


幼い俺は毎日眠ると、夢の中でいつもこの場所に来た。草原に寝転がり、道に立つ看板のようなものを見上げ、夕焼け空をひたすら眺めていた。ただそれだけの夢なのに心の奥底から湧き上がってくる「愛」に包まれていた。

朝になり目を覚ますとその場所は消えていて、現実に引き戻されたような感じがしてとても悲しくなり、毎朝泣いていた。


しかしある日から俺は眠ってもこの場所に行くことができなくなっていたんだ。当時は酷く落ち込んでいたと思う。どうしようもない寂しさでいっぱいだった。


それから時が流れ大人になった俺は、最初に書いたようにある日突然にこの夢のことをふと思い出したんだ。幼い頃に見ていた「あの場所」はいったいどこにあるんだろう。

あらゆる場所へ行っては夕日を眺める。ここじゃない。ここは違う。と行く先行く先でぼやいていた。スマホやパソコンのGoogleで画像を検索するも手がかりは何一つない。というか現実の場所はどこも雰囲気が全然違う。それよりも夢の中で感じた心地よさがなかった。それが確信となる。


どうやらこの地球上に「あの場所」はないのだと。


でも、もう一度だけでいい。もう一度だけでいいからあそこへ行きたい。

そう強く願っていたのだけど、寝ても寝てもあの場所へいけることはなかった。


社会人となっている俺は仕事に翻弄される毎日を送ってたのもあり、いつの間にか「あの場所」の夢のことを忘れていた。

それからいくつかの日々が過ぎたある日。

相変わらず仕事に打ち込む生活は変わってないんだけど、今の仕事は俺にとって自分を表現するためのものだったから疲れることはあまりなかった。


若い時に人一倍の事を経験している自信のある俺。たくさんの痛みを知っているし絶望のどん底で地を這いながら生きてきた。まあ詳しい内容は物語が進むにつれて語るだろう。

そんな俺でも、その日だけは心の底からドッと疲れた。これまでにない出来事に遭遇したのがきっかけなのか、知らなかった感覚を体感したからだと思う。その日の夜は何時間も寝つけなかった。眠れない苦しみはきっと、多くの人が感じたことがあるのではないだろうか。

そんな時に限って嫌な事ばかりを思い出す。

ああ、俺はどうなってしまうんだろう...段々と意識が遠ざかっていった。


「もういいのかい?」


その声でハッと意識を取り戻すかのように目を覚ました。

優しくてふわふわと浮いてるような気持ちのいい感覚...まさかここは!?


そう。そこは夕焼け空が綺麗な草原の大地。「あの場所」だった。

そっか。俺はやっとここへ還ってきたんだ...と心の中でつぶやいた。

幼き頃のように草原に寝転がり、道に立つ看板のようなものを見上げ、ボーっと夕焼け空を眺めていた。やはり看板には何が書いてあるのかはわからなかった。


すると、俺の隣の方から声がした。

すぐに横をふりむこうとするもなぜか身体が動かない...首だけでも向けようとしても全く身体が反応しない。俺は仰向けで上を向いたまま、姿の見えない隣にいる誰かと何やら話していた。

口から発する声でのやりとりではなく、心というか魂の声で通じ合うような...テレパシーのような感覚だろうか。うまく表現できなくてすまない。


それにしてもこの場所はやはり心地が良い。ずっとここにいたい。と強く願ったが、夢の中の世界も現実と同じように止まることなくあっという間に進んでいく。

もう終わりなのか...と思った瞬間だった。

草原に仰向けになってた俺は、隣にいる誰かに誓いのような意志を伝えて立ち上がったところで目を覚ました。


大量の涙を流しながら起き上がり辺りを見渡した。どうやら現実に戻ってきたようだ。幼い頃のような寂しさや悲しさはなく、今回は心が晴れており、とてつもないほどの「愛」に包まれていた。


ありがとう。思い出したよ。

これは俺が生まれてくる前の記憶なんだと確信した。現実から「あの場所」へ行ったんではなくて、「あの場所」からこの現実へ来たんだと。懐かしい感じがしてたのもこのためだ。


隣にいた誰かとは、もう1人の俺。あるいは神さまと呼ぶ存在。


大袈裟に思うかい?

神さまも人も「魂」の観点では同じ存在。神さまの内側には人が存在するし、人の内側にも神さまが存在する。

誰の心の中にも、魂の中にも在るものだよ。何も大袈裟な話じゃない。

「全ては一つ」だということ。


隣にいるもう1人の俺に誓った意志、通じ合った魂の声をこの世界の言葉で翻訳する。


「行ってくるよ。人を救いに」


そう伝えて俺は「あの場所」を後にした。


一話目から長く複雑な内容になってしまったけど、この話をできて本当によかったと思う。あまり堂々と人に語れる事じゃないからね。表現できるツールがあるって本当にいいよね。


人を助けるという使命が俺にはあるのだ。と、あらためて思い出すことができた。必ず使命を果たすと誓うよ。笑って「あの場所」へと還るためにね。


これからは生々しい泥くさい人生談になると思うけど、それが多くの人々の気づきになることを願います。


愛に宇宙に地球に自然に命に感謝の意を。

本当にありがとうございました。

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