第22・5章
第719話
快適な馬車移動を無事に終えて十数日ぶりに王都へ戻って来た俺達は、ほんの少しだけ弱くなった太陽の日差しを浴びながらミューズに負けず劣らすの賑わいを見せている大通りの様子に圧倒されていた。
「うへぇ、コレって王都建国300年だかを祝う祭りの影響だよな?まだまだ先の話だってのにどの店も凄い気合の入り方だな。」
「ふふっ、お祭り当日には各地から大勢の人達が集まって来るだろうからね。今から準備を始めないと間に合わないんじゃないかな。」
「えぇ、それにこの時期は王都を中継地にして各地に移動している人達も沢山居るでしょうからね。だからこその賑わいって事でもあるんじゃないでしょうか。」
「あー、確かにそうかもしれないな。金を持ってる貴族様や商人なんかがそれなりに滞在してるだろうから、稼げる時に稼いでおかないとってどの店も考えんのか。」
「うん、だから王都に滞在している間は人混みに飲まれる事を覚悟しないとね。」
「はぁ……笑顔で言うこっちゃないだろうに……よしっ、とりあえず今日泊まる宿屋まで行くとするぞ。こんだけの大荷物を抱えながら王都の中をウロウロしたくはないからな。」
ため息を零しながら地面に下ろしていた荷物を抱え直した俺は、そこまで遠くない距離にある宿屋に汗だくになりながら向かって歩き始めるのだった。
それからしばらくして、夏の暑さと人の熱気に何とか耐えつつ目的地に辿り着いた俺達は部屋に備え付けられたシャワーを順番に浴びて体をサッパリとさせていった。
「ふぅ、ようやく一息つけましたね……」
「あぁ……ほらマホ、アイスティーだ。」
「あっ、ありがとうございますご主人様……えへへ、とっても美味しいです。」
「そりゃ良かった。さてと、それでどうする?ソフィに行く気があるんなら闘技場に行っても構わないが……」
「……今日は疲れたから大丈夫。」
「了解。それじゃあしばらくの間、ここでゆっくりしますか。晩飯は大通りの様子が落ち着いてから近場にある店で済ませるとしようぜ。」
「うん、これから遠くにあるお店まで行くのは苦労するだろうからね。」
「はい……それにこれ以上はあまり汗は掻きたくないです……」
「そうだなぁ……とりあえず闘技場は明日、ガドルさんとサラさんが王都に滞在していたらソフィは2人に合流して家族だけで過ごしてこい。積もる話も沢山あるだろうからな。」
「……分かった、ありがとう。」
「ははっ、どういたしまして。」
そんな他愛もない話をしながら陽が暮れるのを待っていた俺達は、人通りが少なくなったのを確認してから晩飯を食べに出掛けて行くのだった。
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