第717話
ロイドとソフィが華々しく優勝を飾ってから数日後、ミューズで過ごす最後の夜を迎えた俺達はリビングに集まって帰り支度を始めていた。
「ご主人様、私達が使っていた寝室には忘れ物はありませんでした。」
「おう、こっちも問題無かったから後は明日に備えてさっさと寝ちまうだけだな。」
「ふふっ、そうだね。でも、何だか名残惜しく感じてしまうよ。」
「えへへ、今回の旅行は楽しい思い出を沢山作れましたからね。今日で終わりだって考えるとすっごく寂しいです。」
「……優勝賞品で滞在日数を延長する?」
「いや、王都行きの馬車も予約しちまったし買ってきた土産物の消費期限もあるから延長は無しだな……メチャクチャ心惹かれる提案ではあるんだが……」
「ソレを利用するのはまたの機会だね。今度はレミやユキも一緒に来ようか。」
「えぇ、良いですね!利用する人数については特に制限されていませんから、今度は皆さんで旅行をしましょう!」
「うん、今から楽しみ。」
「まぁ、流石に限度はあるだろうけど……そんな機会があればな。」
「絶対にありますよ!って言うか、無ければ作ればいいんです!違いますか?」
「……ふっ、その通りだな。」
その時はどんな事をしようか、季節は何時頃が良いのか?そんな話で盛り上がっている皆の姿を俺は静かに見つめ続けていた。
「……あっ、そうだソフィ。王都に戻ったらご両親に会ってきたらどうだい。」
「……ぱぱとままに?」
「あぁ、そう言えば行きの時には時間的に余裕が無かったっけか。王都には2,3日居るつもりだから闘技場に寄って確認するだけしてみるのも良いんじゃないか?」
「……分かった、そうしてみる。ありがとう。」
「いえいえ、お礼を言われる事ではありませんよ。私達もご挨拶する機会があるならしておきたいですね。」
「うん、丁度良い所に渡す事の出来る手土産もある事だからね。」
「だな。その後は家族だけの時間を楽しんで来い……って、期待させ過ぎるのも良くないのかね?居なかったせいでガッカリさせるのもあれだし……」
「大丈夫、会えなくても皆が居るなら問題無い。」
「おやおや、嬉しい事を言ってくれるね。思わず抱きしめたくなってしまうよ。」
「えへへ!私はシッカリ抱きしめちゃいます!ぎゅ~!」
「むぎゅう……」
「ったく、何をしてるんだか……」
微笑ましい光景を生み出してる2人をロイドと見つめながらため息を零した俺は、その後穏やかな気持ちのまま眠りにつく事になるのだった。
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