第708話
降下が始まってからしばらくした後、エレベーターが動きを止めて扉が開いたので俺達は2人揃って外に出て行った。
「……凄いな……」
「えぇ……ここって本当にあのお城の下なんでしょうか……?」
「そのはずだけど……」
足首まである水と目の前に真っすぐ伸びている長い廊下、そして明かりを灯してる豪華な照明器具……とりあえず、ここが舞台となる海底城って事なのかねぇ。
『皆様、イベント開始地点に到着したみたいですね!それではまず、すぐ近くにある壁の方へ目を向けてみて下さい!そこにとある道具が置いてあるはずです!』
「壁の方……?あっ、もしかしてアレの事ですかね!」
「多分な……にしてもありゃ……」
何処からともなく聞こえてくるテーラー・パークの指示に従った俺達は、目の前にある幾つかの道具を手に持って眺めていた。
「えっと、コレってウォーシューターですよね?魔力を込めて水を発射する……」
「あぁ、クアウォートで使ってたのより小型化されてみるみたいだが……間違いないだろうな。それと……この腕輪は何だ?緑色の光が3つあるみたいだけど。」
『ほっほっほ、皆様が目にしている物はイベントをするに当たって必要な道具となります!さぁ、次はその腕輪をご自身の手首にお付け下さい!』
「……とりあえず、言われた通りにしましょうか。」
「だな……おいマホ、サイズ感はどうだ?」
「問題ありません。おじさんはどうですか?」
「俺も特に違和感は無いな。」
『はい!皆様が腕輪を付けました事を確認させて頂きました!お気付きになっている参加者の方もいらっしゃると思いますがその腕輪には緑色の光が3つ灯っています。それは一体何かと言うと……皆様のライフポイントとなっております!』
「……ライフポイント?」
『実はお話をしていませんでしたが、海底城の中には宝を護るモンスター達が徘徊をしているのでございます!あっ、とは言っても本物ではなく機械で動く人形ですのでどうぞご安心を!』
「いや、そりゃそうでしょうよ……」
「まぁまぁおじさん、まずは静かに説明を聞くとしましょうよ。」
『さてと、その機械人形なのですが……なんと皆様を発見すると水で攻撃を仕掛けてきます!それに3回やられてしまうと……残念ですが、失格となってしまうんです!そうならない様に反撃をしたいとは思いませんか?そこで役立つのが、皆様の手元にある小型ウォーシューターとなります!それを使ってモンスターを退けながら頂上を目指して行くのが今回のイベントの目的となります!ご理解を頂けましたか?』
「……なるほどね、要するに探索型のシューティングゲームって事か。」
「うーん、焦るとモンスターにライフを減らされちゃうかもしれませんし……だからと言って慎重になり過ぎると他の参加者に後れを取って失格になるって事ですね。」
『ほっほっほ、どうやら皆様ルールをご理解して頂いたみたいですね!それでは……これより海底城の攻略、スタートとなります!皆様、誰よりも先に頂上へ到達出来る様に頑張って下さい!』
テーラー・パークがそう告げた直後、甲高いブザー音が鳴り響いてきたので俺達は互いの顔を見合わせながらウォーシューターを手に取るのだった。
「マホ、俺が先陣を切るから後ろは任せたぞ。」
「は、はい!頼りにしていますので、お願いしますねおじさん!」
「了解……とは言え、このまま一直線にゴールまで辿り着けるとは考えにくい。急ぎつつも慎重さを忘れない感じで行くぞ。」
「えぇ、つまりはダンジョン攻略って事ですね!」
「ふっ、その通りだ!」
銃を構えながら小走りで廊下の方に向かった俺とマホは、第一段階のゴールである扉を目指す事にするのだった。
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