第675話
「エルア、クリフ、2人共よく頑張ってくれたな。今日で指導の第一段階は終わりにしたいと思う。本当にお疲れ様。」
「はい、お疲れ様でした。」
「ふっ、それなりに有意義な時間であった事は認めてやろう。それで?次はどの様な指導を我らにするつもりだ?」
「まぁまぁ、そう焦りなさんなって。次の指導についてはまた後日って事で、今日はもう解散だ。オレットさんも取材は一通り終わってるんだろ?だったら3人で仲良く街を観光してこいよ。」
「ハッ、余計なお世話だ。そんな事よりも更なる力を得る為に次の指導を」
「ありがとうございます九条さん!それじゃあお言葉に甘えて、街をブラブラとしてきますね!さぁ、行くよ2人共!」
「うわっ!オ、オレット!?」
「こ、こら離せ!いきなり腕を掴んでくるなんて何を考えてって、ちょっ!?」
「皆さーん!行ってらっしゃーい!」
オレットさんに手を引かれて走り去っていく戸惑い気味のエルアと顔を赤くしてるクリフを家の前で見送った後、俺は大きく伸びをしながらため息を零した。
「ロイド、ソフィ、お前達もお疲れさん。」
「ふふっ、九条さんもね。それにしても驚いたよね。人に何かを教えるという事が、こんなにも面白いとは思わなかったよ。」
「2人が成長してくれるのが目に見えて分かるから嬉しい。」
「えへへ、良かったですね。ご主人様もエルアさんとクリフさんへの指導を楽しんでいるんじゃないですか?」
「アホか、気苦労が多くて楽しんでる余裕なんて無いっつうの……まぁ、ほんの少しぐらいは充実感があるって思えてるのかもしれないけどな。」
「もう、素直じゃないですね。ってそう言えば、第2段階の指導は何時頃から始めるつもりなんですか?」
「あー……とりあえず、あいつ等の疲れが抜けてからって感じになるだろうな。次のヤツは下手したら肉体的にも精神的にも過酷になるだろうしさ。」
「うん、2人の関係を考えれば難しくは無いだろうけど……」
「慣れない内は大変だと思う。」
「だな……まぁ、そんな訳だからあいつ等にはまた後で伝えておくよ。それよりも、さっさと晩飯の支度を始めたいから家に入ろうぜ。」
「あっ、そう言えば今日はご主人様の当番でしたね。」
「ふふっ。九条さんの作ってくれる手料理、楽しみにしているよ。」
「おなかすいた。」
「はいはい、何時も通り頑張らせて頂きますよっと。」
指導の第一段階が終わった達成感を味わいながら肩をすくめた俺は、晩飯の献立を考えながら3人に背を向けて歩き始めるのだった。
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