「あー……家に帰りてぇ……」

「ちょっとおじさん、朝の勢いはどうしちゃったんですか？」

「いや、だってさぁ……ここら辺に出現するモンスターがマジで強いんだもの……」

　トリアルで相手にしている奴らとは明らかに何もかもが格上のモンスターを相手に何度も戦闘を繰り返した結果、体力的に限界を迎えてしまった俺は宿屋に戻って来た直後にソファーに座り込んで動けなくなってしまっていた。

「ふふっ、ジーナに頼まれて張り切ってしまった反動が出てしまったみたいだね。」

「全く、良い格好をしようとするからそんな事になるのよ。もう少し自分の年齢ってもんを考えなさいよね。」

「うぅ、それが今日１日頑張った人間に掛ける言葉なのかよ……神様なら神様らしく癒しを与える為に優しく語り掛けるとかしてくれても良いんじゃねぇのか……？」

「あ・ま・え・ん・な。ロイドやソフィは平気な顔をしてるってのに、アンタにだけ優しくしてあげる訳ないでしょうが。これに懲りたら明日からは気を付けなさい。」

「ぐぬぬぅ……」

「はっはっは、やはりお主も押し寄せる歳には勝てんか。」

「ひ、人を年寄り扱いすんじゃねぇっての……まだ俺はピチピチだわアホめ……」

「それならばシャキッとせんか。ジーナに頼まれた素材集めもユキの依頼もまだまだ終わりは見えておらんぞ。」

「うん、今日の分でまだ２割ぐらいしか集まってない。」

「そうなんですよねぇ……この調子でいければ数日中に素材の方は何とかなるのかもしれませんけど、流石にソレは難しいですよね。特におじさんが……」

「……非常に情けない話だが、その意見には同意せざるを得ないな……」

「ふむ、それなら午前中に素材集めをして午後からは街でゆっくりとしようか。」

「えぇ、そうした方が良いでしょうね。張り切り過ぎても良い結果にはならないって分かっちゃった事だし。」

　……心に言葉のナイフをグサグサと突き刺されてぐうの音も出なくなってしまって何とも言えない気まずさを感じていると、その空気を察したらしいマホが作り笑いをしながら手を叩いてパンっという音を鳴り響かせた。

「さ、さてと！そうと決まれば、明日の予定について軽く話し合いをしましょうか！私としては午後からはお土産屋さんを見て回りたいんですよね！昨日、ジーナさんと一緒にお店を巡ってみたんですけどそこまで詳しく調べられませんでしたから！」

「あぁ、確かにそうだったね。了解、私は構わないよ。」

「私も問題ない。九条さんは？」

「……分かった。付き合うよ。レミとユキはどうするんだ？」

「私は別行動を取らせてもらうわ。まだまだ支度が必要そうだからね。」

「わしもユキと行動を共にしよう。力になれる事があるかもしれんからな。」

「はいよ、晩飯前にはここに帰ってくるんだぞ。」

「子供扱いするんじゃないわよ。でもまぁ、なるべくそうするようにするわ。」

　そんな会話をしながら夜を過ごしてった俺達は、明日に響かない様に早めに寝室へ戻るとそのまま眠りについていくのだった。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい