第653話

 翌日、これまでの規則正しい生活の影響でいつもより少し遅いぐらいの時間に目を覚ましてしまった俺は寝室の外から聞こえてくる楽しそうな話し声が気になったので二度寝をする事を止めてほとんど寝ぼけた状態のままリビングに向かって行った。


「ふぁぁ~……おはようさん……」


「あっ、九条さん!おはようって、その恰好はもしかして今起きたばっかりなの?」


「まぁな……お前達は……これから出掛けるのか……?」


「はい!皆で温泉と美味しい食べ物を楽しんできます!おじさんは…………」


「……そこで言葉を途切れさせんなよ……別におかしな所には行かねぇからさ……」


「……それなら良いんですけど……」


「まぁまぁマホちゃん。九条さんだって男の人なんだから、そういうえっちなお店に興味を持っても仕方な………いや、やっぱりダメ!そんないかがわしい所に行ったら絶対に許さないんだからね!」


「お、おう……つーか行かねぇって言ってんだろうが……おいユキ、お前ジーナにも昨日の話を聞かせたのか?」


「えぇ、流れで教えてあげたわよ。何か問題でもある?」


「……問題はねぇけどさ……伝えるんなら最低限、俺は行かないって事も教えてくれねぇと後処理が面倒………まぁ良いや、そういう訳だから変な心配はしなくて良い。今日はのんびりと街をブラブラするだけの予定だからな。」


「ふーん……それなら私達と一緒でも良いと思うんだけどなー」


「それだけは勘弁。温泉巡りにしたって俺の方が早く上がる事は決まってんだから、おかしな気は使わずにお前達はお前達で楽しんで来い。特にジーナは明日にはここを離れるんだから、最後の思い出作りを満喫してこい。」


「えっへへ……うん、そうだね!九条さんが居ないのは凄く残念だけど、思いっきり楽しんでくるよ!」


「あぁ、そうしろ。お前達もシッカリ頼んだぞ。」


「うむ、任せておくが良い!」


「えぇ、コレも大事なお役目の1つだかね。アンタに言われるまでもなく、ちゃんと楽しませてあげるつもりよ。この街は私の大切な故郷でもあるんだから。」


「ふっ、そうだったな。」


「おじさんは私達が出掛けた後はどうするんですか?」


「ん?まぁとりあえず風呂にでも入ってサッパリするかな。その後はのんびりとしてその後は街をブラブラと歩き回るつもりだ。」


「了解。もし街中で会ったら一緒に買い物しよう。」


「おう、その時が来たらな。そんじゃあ……いってらっしゃい。」


「うん!行ってきまーす!」


 大きく手を振って皆と出掛けて行ったジーナを見送った後、1人リビングに残った俺は大きく伸びをしてから寝室に戻って行って二度寝の体勢に入った。


 それから数十分ぐらいして再び目を覚ました俺は、この部屋に備え付けられている露天風呂をじっくりと満喫してから服を着替えて街へと出て行くのだった。

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