第619話
50ポイント達成の報酬として受け取った封筒の中身を取り出して確認をした後、俺とイリスは斡旋所で教えられた事をザックリと皆に説明した。
「ふむ、つまり2人と一緒ならば私達もその特別なイベントに参加出来るのかい?」
「まぁ、多分そういう事で間違ってないと思うぞ。ほら、このカードにも5名様までなら同行を認めますって書いてるだろ。」
「うふふ、そういう訳ですからどうでしょうか?明日、僕達と素敵な思い出を作りに行きませんか。それに皆さんはまだ、50ポイントには届いていないんですよね?」
「うん、結構溜まったけど少しだけ足りてない。」
「あぁ、だったら明日の予定は決まりって事で大丈夫だよな?それじゃあ明日の事についてなんだが、予約したのが夕方の5時だからそこに合わせる感じで待ち合せを」
「ちょっと待ったぁ!!」
「うおおっ!?な、何だよマホ!いきなり大声を出した驚くだろうが!」
「それに関してはすみません!ですが、明日の事についておじさんに一言だけお伝えしなくてはいけない事がありますので私の話を聞いてもらえますか!」
「お、おう……そんなに意気込まなくてもちゃんと聞くよ……で、どうしたんだ?」
戸惑いながら急に勢いよく立ち上がって俺の話を遮ってきたマホにそう尋ねると、ビシッと眼前に人差し指を突きつけられて……?
「折角のお誘いは非常に嬉しいんですけど……私達はおじさん達とはイベントに参加しません!」
「……は?何で?」
「そんなの決まってるじゃないですか!おじさんとイリスさんの素敵な思いで作りを邪魔したくないからですよ!」
「じゃ、邪魔って……いや……そんな事は……」
少しだけ怒ってる風のマホに気圧されて反応に困ってしまった俺は、助けを求める為に周りでこの状況を見守ってくれているであろう皆へ視線を送って見たのだが……
「ふふっ、悪いね九条さん。先に言われてしまったが私もマホと同じ意見だよ。」
「えっ、ロイドも?」
「九条さん、私も明日は一緒には行かない。」
「うふふ、頑張ってポイントを貯めて来てくれた2人には申し訳ないんですけど私とルバートさんもお断りさせて頂きますね。それと明日はこちらに寄らなくても大丈夫ですので、イリスさんの事をよろしくお願いします。」
「……きちんとイリスさんを家に送って頂ければ、私から言う事はありません。」
「え、えぇ……」
「……母さん、父さん、それに皆さんも良いんですか?」
「はい!……おじさん、大丈夫ですよね?」
「……何を心配しているのかは大体察しが付くから、そんなに不安なら一緒に来れば良いじゃねぇかって言いたい所だが……大丈夫だ……俺の性格なら知ってんだろ?」
「……ですよね!それなら問題ありませんっ!イリスさん、明日はおじさんと一緒に楽しんで来て下さいね!」
「私達は私達で、最後のポイント集めを頑張るとするよ。そして……」
「50ポイント溜まったら、その時は皆で行く。」
「うふふ、2人は私達の事は気にせず素敵な思い出作りをしてきて下さいね。」
「九条さん、イリスの事を……どうぞよろしくお願いします。」
「……はぁ……分かりました。」
「母さん、父さん、皆さん、ありがとうございます。それならお言葉に甘えて明日は素敵な1日になる様に楽しんできますね。」
嬉しそうに微笑んだイリスと視線を交わした皆が同じ表情になったのを見た俺は、後頭部を軽く撫でながら静かにため息を吐き出すのだった。
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