第495話

 借りていた家の掃除、大通りでの買い物、1回で良いから王都でクエストを受けてみたいというソフィの頼み……その他にも色々とこなしているとあっと言う間に窓の外は暗くなってしまっていた。


「ふぅ、後は明日に備えて寝るだけだな……それにしても、今回のクエストは色々な意味で大変だったな……」


「えぇ、特にご主人様はフィオさんとの一件もありましたからね。でも、とりあえずそれについては解決した感じなんですよね?」


「あぁ、多分な……実際の所はどうなのか分かんねぇけどさ、もう敵対視される事は無いんじゃないかな。」


「ふふっ、それは良かったね。何があったのかは詳しく聞いていないけど、去り際の彼女の表情は晴れ渡る青空の様だったよ。」


「それは……いまいち想像が出来ねぇな……つーか、何処から見てたんだよ……」


「家の窓からこっそりとね。あの場所で戦闘を始めるとも思えなかったが、もしもの時は止めに入るつもりだったからさ。」


「……悪いな、気を遣わせてたみたいで。」


「いや、謝る必要は無いよ。仲間の事を心配するのは当然の事だろう?それに可愛い女の子が傷つく姿が見たくないからね。」


「……お前の場合、どっちかって言うとそっちの方が主な目的なんじゃねぇのか?」


「さて、それはどうだろうね。」


 ロイドのクスクスと笑う姿を横目に見ながら深々とため息を零した俺は、目の前に置かれたティーカップを一気に飲み干してからマホの方を見るのだった。


「そう言えば、使いかけの茶葉ってもうバッグの中に入れたんだっけか?」


「あっ、はい。つい先程、ご主人様の飲み物を作った後に入れておきました。」


「そうか……う~ん、こんな事ならもっと色々と試してみるべきだったか……流石に未開封のヤツを持って帰る訳にもいかないし……いや、別の良いのか?だって俺達の為に用意されたもんだもんな……よしっ、全部貰って行くか。」


「えっ!?だ、大丈夫なんですかね?ロイドさんの話によると、棚に置いてあるのはどれも一級品の品だって事ですけど……」


「あぁ、だから持ってくんだろ。こんな所に置いといても、後で回収されるだけなんだからさ。ここは俺達や有効活用してやらないと!そうと決まればマホ、俺の部屋似置いてあるバッグを持ってこーい!」


「……はぁ、分かりましたよ。けど、後で怒られても知りませんからね?」


 マホに呆れられながら棚に置かれていた茶葉の入った袋をバッグの中に詰め込んでいった俺は、一仕事終えた満足感に包まれながらビックリするぐらいふかふかしてるベッドに潜り込んで名残惜しさを感じながら眠りに落ちて行くのだった。

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