第420話
雪像の展示会場を訪れてから数十分後、建物の外に出て遅れていた3人と合流した俺達は近場にある温泉に寄って景品交換用のポイントを貰うついでに冷え切った体を温める事にした。
それから更に時間は過ぎてしまい気が付いたら昼頃になってしまったので、俺達はお土産を見て回りながら腹を満たす為に買い食いをしまくっていた。
「はむっ……んぐっ……ぷはぁ……この街は本当に良い街じゃな……食べ物はどれも美味しいし、気持ちの良い温泉も沢山あるし……素晴らしいのう……」
「えへへ、レミさんは本当にノルウィンドが気に入ったみたいですね。」
「うむ!何ならエリオとカレンを説得して移住したいぐらいじゃわい!」
「ふふっ、それをされてしまうと母さんや父さんと気軽に会えなくなってしまうからこの先もトリアルに居てくれと嬉しいな。」
「おっと、ロイドにそう言われてしまっては諦めるしかないかのう!はっはっは!」
「……そもそもの話、街を治めている権力者がそう簡単に移住出来ないだろうが。」
「あはは、それもそうですね。」
「おーっほっほっほ!それでしたら、別荘を構えるという案もございますわよ!」
「おぉ!確かにそれならば滞在日数を気にする必要も無くなりそうじゃな!よしっ、トリアルに戻ったら早速エリオに提案をせねば!」
「いやいや、そんの即効で却下されるんだから無駄な事は止めなさいってーのっ。」
「あいたっ!……九条、わしの頭にチョップをするとは良い度胸じゃのう……天罰を下されても良いというのか?ん?」
「……天罰ねぇ……」
「……九条さん、どうかしたの?」
「いや、別に……大した事じゃ無いから気にすんな。」
「……?」
不思議そうに首を傾げているソフィから目を逸らした俺は、昨日の屋台が並んでた所で見かけた白髪ロングの美少女の事を思い出して……すぐに首を横に振った。
これ以上、あの子について考えたら近い将来に新たなフラグとなって襲い掛かって来ると俺の本能がそう告げている……様な気がする!
「おじさん?急にどうしたんですか?……まさかとは思いますけどまた何か……」
「マホ、そうやって目を細めながら人の事を睨みつけるんじゃありません。俺の心は繊細だから傷つきやすいって何度も言ってるでしょうが!」
「ふーん!おじさんが怪しい反応を見せるのが悪いんですぅー!もし止めてほしいのなら、何を考えていたのか正直に教えて下さいよね!」
「……断る!」
「えぇー!どうしてですか!その理由は?」
「そんなの決まってるだろ!何でも無いからだ!」
「何でも無いなら教えてくれても良いじゃないですか!」
「まぁまぁ、落ち着くんじゃマホ。こうまで言っても九条が話さぬという事は、それなりの訳があるんじゃよ。」
「おぉ!分かってくれるかレミ!」
「うむ、勿論じゃよ……お主は今、風呂上がりの美少女に囲まれているという幸せを心の中で喜んでおったんじゃろ?」
「………………はい?」
「そして頭の中で色々な妄想しておったが……皆に悪いと考えを改め、それを必死に振り払っていたんじゃろ?お主も男じゃからな、ソレは仕方あるまい。」
「い、いや……ちょっ、頼むから待ってくれ!俺を置いてきぼりにしたまま話を先に進めないでくれ!そしてお前達もそんな目で俺を見ないでくれ!」
「え、えっと……申し訳ございません九条様、私はロイド様一筋ですので……」
「そ、その……お、男の方……ですもんね……はい……」
「ちょっ、無理に理解をしようとしなくて良いから!」
「ふふっ、少し恥ずかしいけれど……九条さんなら許してあげるよ。」
「……仕方ない。」
「も、もうおじさんったら……そういう事ならそうって言ってくれれば……」
「お前達も冷静になってくれ!って言うかレミ!マジでふざけんなよ!?」
「はっはっは!そう恥ずかしがらなくても良いではないか!」
「いやいや、マジで笑い事じゃねぇから!あぁもう、どしてこんな事に……!」
レミの余計な一言のおかげで考えていた事がバレずに済んだのは良かったが、後に待っていたのがとんでもない爆弾だったので俺は必死になって誤解を解こうと頑張る事になってしまうのだった!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます