第341話
「ん~!ようやく外に出られた……って、マジかよ……」
朝からずっと曇ってたからもしかしてとは思ってたけどさぁ……厄介事か片付いた後なんだから雲間から光が差し込んでくれていても良くないですかねぇ……
「それなのに、雨が降ってるとか最悪すぎだろ……」
地面のぬかるみ具合から予想すると俺達が城に入った後に振り出したんだろうが、もう少しタイミングってのを考えて欲しかったぜ……
「はぁ……こりゃ街に着くまでに足元が泥だらけになっちまうだろなぁ………いや、ちょっと待てよ?それならそれで………」
とある考えが頭の中に浮かび上がって来た俺は顎に手をやりながら小さな声でそう呟くと、クツやズボンが汚れるのも無視して山の中を歩き回る事にした。
幸いにもここら辺に生息していたであろうモンスターのほとんどは城の中だから、1人でうろついていてもそんなに危なくはないだろうしな。
……それから大体10分ぐらいが経った頃、城からかなり離れた山奥で探していたものを運良く発見した俺は小走りで駆け寄って行くとその場にしゃがみ込んだ。
「ふーん、やっぱり残ってたか……流石は俺、フラグに愛されてるねぇ~」
それが嬉しい事かどうかは別として、とりあえずこうして馬車が停まってた痕跡を見つけられてラッキーだったなぁ……
「それにしても、こんな山奥まで馬車に乗って来るなんて……それだけ性能に自信があったのか、もしくは御者に無理難題を押し付けたのか……どっちにしたって犯人は自分勝手な奴だって可能性が高そうだな。」
だとしたらローザさんが言っていた通り貴族連中か、あるいは豪商とかそこら辺の奴らって感じかねぇ……
「しかしそれならそれで、犯人は城から何を盗んでいったんだ?」
ショーケースの大きさから予想するとそこまで大きな物が入ってた訳じゃないだろから……アクセサリーとかそういった類の物か?
「うーん、分からん……」
まぁ、これに関しては俺が悩んだ所でどうしようもない部分ではあるんだけど……後で厄介事になって降り掛かってこないとも言い切れない以上、今の内に集められる情報は少しでも手に入れとく必要が……
「とは言え……それもここらが限界か……」
車輪の跡をジッと見ていたってどうにもならねぇし……ずっと振り続けている雨のせいでクツの中はおろか全身までびしょ濡れになっちまったしなぁ……
「それに無事だとは思うけど、あいつ等の安否も確認しねぇだし……って、やっぱり俺ってひとり言が多すぎるな。」
こんな時にマホが居てくれりゃ良かったんだが、ネックレスはバッグの中に入れてあるからそれも出来ないし……はぁ、さっさと街に帰るとしますかね。
……その後、城まで戻った俺は仮面のメイドと共に登って来た道を辿って下山して行くのだった。
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