とある青年B

"とある時代"の"とある国"、

"とある青年B"は父親に、立派な軍人になる事を幼い頃から教えられていた。


青年Bは学問・武道はもちろん一生懸命に取り組み、

異性からも大変モテて、その地元でも有名な優等生となった。


そんなある日、

"隣国"との戦争にて青年Bは"左腕と左眼"を欠損し、下半身に障害を残した。


それを、勇気ある"誇り高き勲章"だと家族や仲間には褒め称えられ、

青年Bは胸を張って故郷へ帰った。


これがこの時代のこの国での美徳なのである。



数ヶ月後、青年Bの国は敗戦国となった。

戦勝国により政治の仕組みから、教育から、国民の生き方、価値観まで全てを変えられた。


社会は大きく変わり、国民達は会社に勤め、

一生懸命に労働する事が美徳と教えられた。

もちろん青年Bも労働をしなければならなくなった。


しかし、どこの"労働機関"も、

左腕と左眼が欠損して不自由な青年Bを受け入れようとしなかった。


時代の変化が早すぎて、青年Bの様な人を救う余裕がこの国にはまだ整ってなかった。


何より、心身共に健康で、よく働くモノが偉いと持て囃された。


それがこの時代を生きるルールであった。


それ以来、青年Bは心のバランスを崩し、近所でも気が狂ったと白い目で見られるようになった。


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