2回目のタイムリープ

とろり。

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 きのう、失恋した


 0時1分、高橋立夏たかはしりっかは一昨日学校で拾った不思議なノートにこう殴り書きした。誰のだか知らないけれど、それでも立夏のこころを落ち着かせるのには十分だった。

 涙は治まり、嗚咽もだいぶ治まった。立夏は再びシャープペンを持つとそのノートにこう書いた。


 冬也とうやとできればもう一度付き合いたい


 そして、淡い願いが込められたその文は光だし、1文字1文字が宙に浮き、光の粒子となって立夏を包み込んだ。

 空間が歪み、立夏は時空を越えた。

「わあああああああ!」


 ぼふっ!


 立夏は自室のベッドの上に投げ出された。

「えっ!? 何が起きたの!?」

 未だ状況を理解できずに困惑する立夏にドアの向こうから声がかかった。

「立夏、起きなさい。今日は終業式でしょ、遅刻するわよ」

「わ、わかった! 今準備するー!」

 反射的に母親に反応した立夏であったが、終業式という単語に違和感を感じた。

(終業式ってきのうじゃなかったっけ……?)

 しばらく疑問符が頭に浮かんでいたが、その後あのノートを開いて合点がいった。


 7月20日

 ――


 書いたはずの文字が書かれていない。確かに書いた。失恋したと書いた。でも――。

「立夏ー! 本当に遅れるわよー!」

「今行く!」

 制服に着替え、リュックに必要なものだけ詰めて立夏は部屋を出た。

 母親が準備した焼きたての食パンをくわえながら玄関を出ると、ギラギラとした太陽が立夏を容赦なく照りつける。

「あ、日焼け止めクリームぬるの忘れた」

 8時2分、自転車に乗って立夏は学校に向かった。





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