図書室にて

 学園都市立戸沢高校の図書室には、主と呼ばれる少女がいるという。

 こう書くと、深窓の令嬢風の儚げな少女を想像するだろうけど、実際はまあなかなか痛烈な女傑アマゾネスである。

 さて、ある日。

「あーい、なついるかい?」

「喚かなくてもわかるよ、阿呆」

 図書室にやってきたのは、あんりという名前からほほど遠いチャラ付いた野郎みたいな少女である。

「ヒドイな、いいもの持ってきたのに」

と、杏が持ってきたのは重力ルールズ・オブ法則・アトラクションと書かれた分厚い本だった。

「おお、これは……」

 夏緒が杏を無視して、本を読みだすのに時間はかからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る