人それを神と呼ぶ

ウマロ

第1話:ここはどこ?

 どこだ、ここは?

 目を覚ましたら、固い板の間で横になっていた。 

 いつの間に寝たのか?

 いや、それ以前に寝る前に何をしていたかも思い出せない。

 自分のことは……

 辛うじてわかる。

 社会人になりお金を稼げるようになって、さあこれから親孝行というところで相次いで両親を亡くした。

 

 今まで苦労かけた分と意気込んでいたので、喪失感とともに脱力感に襲われ…… 

 惰性とともに、過ごしていた。

 

 それにしても、異様に暑い。

 全身汗だらけだ。


 暑すぎる……

 どうにかならないものか。


 そう考えていたら、周囲の温度が下がって涼しい風が室内に入ってくる。

 良かった。


 そのまま起き上がって、周りを見渡す。

 寝転がっていたところから後ろを振り返ると、祭壇のようなものが見える。

 そして室内にポツポツとある円形の柱の数々。

 雰囲気としては神社と呼ぶのが、相応しいだろうか?

 なんで神社?


 頭が混乱している。

 どうやって、ここに来たのかも思い出せない……


 起き上がって自分の格好を確認する。

 鏡が無いから分からないけど、神主さんが着ているような装束袴姿だ。

 と思ったら目の前に姿見が。

 うん、正月にお参りする神社の神主さんの格好にそっくり。

 えっ?

 なんで?

 誰が、着替えさせた?

 足に何か触れる。

 そっちに目をやる。 

 烏帽子が転がっているのが見えた。

 かぶる気は……しないかな?

 袴の色は白で、白い文様が浮かびあがっている。

 もう少し、楽な格好は無いものか。

 汗をかいたせいか、ぴったりと生地がひっついていて気持ち悪い。


 そう思っただけで、一瞬で汗が乾いて服がパリッとする。

 なんだろう?

 さっきから、都合の良いことばかり起こっている気が。

 

 取り合えず外に出てみる。

 足元は足袋を履いていたが、縁側から外に続く段差に草履もあった。

 それを履いて、社の外に。

 壁も何もない。

 そして見えるのは、ひたすら砂。

 砂、砂、砂。


 砂漠?


 なんで、こんなところに?

 というか、やっぱり神社に居ること自体がおかしい。

 何をしてたんだっけ?


 直近の記憶があやふやだ。

 

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