第2話

楽しさを、なくしてしまった。

楽しむことを忘れてしまった。


楽しむことなく生きていくというのか、これから?


死を望む声がデカくなり、狭間で揺れる。


「ゴンちゃん、鳴かなくてもいいから、ちょっと、ここコロコロさせて」

姉が粘着テープで掃除を掛ける。

猫は黙り込んだまま、ぐにゃりと体を傾けて、今まで落ち着いていた場所から方向転換する。

トントントン、と階段を降りていって、なんと下で、ニャーオと鳴いている。

晩年のゴンちゃんは、うんともすんとも言わなかったのだ。

下を覗くと扉が少し開いており、ゴンちゃんは外で蹲っていた。

私は後に続いて、部屋を、ぐるりと曲がったところにある階段を経て下に向かった。

外に出ると猫は痙攣をし始めた。

もう、いつものことだ。

ゴンちゃんは、、そのグニャリとした体勢のまま、どこかへ移動しようとしており、私は、どうやら、死ぬ時は他所で死のうとしているかのように思えた。

「ゴンちゃん、死ぬ時は家で死んで」

私は、ぐにゃりとしたゴンちゃんを抱きかかえ家の中に入っていった。

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