第18話 服選び

 午前中の勉強を終え昼食後、タマ子は服選びに困っていた。


「タマ子王女様、どうされたんですか?」


 侍女のカヤがベッドに散らかした服を見てビックリした。


「どうして私の服はこんなに華やかなドレスしかないの!」


 半ばイライラした様子のタマ子。


「えっと…それはぁー」


 困るカヤ。


「そうだ!カヤの服を貸して!」


「私はもう17歳ですよ~大きすぎますでしょ…?」


「お母様に聞いて来る!」


 そういうと一目散に駆け出して行った。階下に降りるとデイジーはリビングで楽しそうに国王ルーカスとおしゃべりをしていた。


「お母様!私普通の服が欲しいんです!」


「まぁ、タマ子どうしたの。慌てて…普通の服は沢山ありますでしょ?」


「国民が来ているような普通の服が欲しいんです!そうじゃないと皆の所に行けない…」


 タマ子は半泣き状態になってしまった。


「タマ子。何も皆に合わさなくてよいのだぞ。タマ子は王女なのだからな」


 ルーカスが口を挟んだ。


「どうして差別されるのですか?!私は皆と一緒がいいです…」


「差別か…なるほどな。そうかも知れん。当たり前に思っていた事がタマ子に気付かされる事が多いな。何も華やかでなくていいはずだ」


 ルーカスは目を閉じ穏やかにそう言った。


「じゃあ、早速街の衣料店で作って貰いましょうか?シルクではなく綿の素朴なドレスがいいですね」


「お父様、お母様ありがとうございます!それを着たら私は城外に行けます!皆と同じように働く事も出来ます!」


「働くのかね」


「はい!」


「国民も5歳ではまだ働かないぞ?」


「いいんです!私は私タマ子ですから」


 ルーカスとデイジーは微笑ましく思い、2人で笑いあった。


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