どういうことなの……

 あたし、選ばれし勇者たちを見送ったマユミ!そしてこちらは、全滅を告げに来た使いのパンドラ(魔神の手下に呪いにかけられて犬の姿)!


「きみがパンドラからこの手紙を渡されたころ、僕たち三人は魔神に全滅させられているだろう。ごめんねマユミ、世界を救えなかった」


 ちょ。


 どういうことなの……。






 そもそも、8月、夏休みの宿題もだいたいできて、自由研究うざーとか思いながら自転車で川沿いを走ってたら、何かが空から落ちてきたのよ。

 近づいてみたら、わたしくらいの少年が3人。

 着ているものがロープレのパーティーぽくて、ぜったい異世界から来たってテンション上がってたのに、「僕たちは日本からいきなりさらわれて、魔界で記憶を抜かれて修行をうけさされた」らしく、異世界召喚の逆じゃんとか思ってた。



 でもって「日本の某所に現れた、すべての世界を破滅に陥れようとする」お決まりな「魔神」(正式名称は魔天空神らしい)を倒しにいったのよ。


 メンバーは、精霊を呼び出す魔法使いのハヤテ、地質の気功を使った術を使う気功士のショウ、戦士というか剣士のダイチ。FF3でいうところの白黒魔法使いと、風水士+幻術士と、戦士みたいなものかしらね。いちおうパワーバランスはとれてたみたいだし、ハヤテとショウは回復術をもっていたから、まあそこそこたたかえるとは思ってたけど……。


 三人がお付きの犬(の姿にかえられたパンドラって言う、魔界の人)と、居候してたあたしの家を出てから、おいてあったキャラクターシートを見直したんだけどさ、ちょっとこれは不味いかなって思った。なんでかというと、かんたんにいうとみんなレベル足りてない。ドラクエでいえば、ハヤテはベギラゴンまで覚えてないんだよね。魔神とのラストバトルでベギラマ止まりで勝てるとは思えない。


 てなわけで、あたしの部屋には、汚れた犬と、汚れた手紙と、三人が久しぶりに食べてうまいとか言ったから買っておいたお菓子とかが残った。


 え、両親何してるかって?お決まりのパターンじゃない、母さんは早々になくなって、父さんはあちこちの炎上プロジェクトに突っ込まれてて帰ってこない。


「クゥン……」

 犬の姿のパンドラは、何か言いたそうにしてるけど、あたしにはわからない。

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