恩返し
勝利だギューちゃん
第1話
「やあ、久しぶり」
いきなり、女の子に声をかけられた・・・
僕は、この子を知らない。
自慢ではないが、僕は人の顔と名前を覚えるのが得意だ。
一度会った事のある人の顔は、忘れない。
好きな人も、嫌いな人も、どちらでもない人も・・・
なので、この子は初対面のはずだ。
「あのう、失礼ですが、誰かと勘違いなされていませんか?」
知らないのなら、尋ねるのが当たり前だろう。
「間違ってないよ。君、小池雅昭くんでしょ?」
その通りだ。
僕の名は、小池雅昭。
でも、有名人ではない。
なんのとりえもない、しがない一般ピープルだ。
もしかして、ネットやSNSで公開されているのか?
もしそうなら、訴えてやる。
「そっか・・・覚えてないよね・・・無理もないね・・・」
やはり、どこかで公開されているのか?
怖い世の中だ・・・
「違うよ。君は私と会っているんだよ」
「いつですか?」
「前世で・・・」
時が止まった。
「前世?」
「うん」
少女は頷く。
僕は、転生は信じない。
仮にあったとしても、記憶は消されているはず。
なので、わからなくても、無理はない。
「前世と言っても、君のじゃないよ。私の・・・」
「君の?」
少女は頷く。
「実は、恩返しに来たんだ」
「恩返し・・・ですか?」
何の事だろう?
まさか、鶴の恩返しとか言うんじゃないんだろうな?
「近いよ」
「近い?」
少女はさらに、頷く。
「こういえば、わかるかな」
「えっ」
「スミス」
スミス・・・
あっ、スミスと言えば、僕が子供の頃飼っていた、犬の名前だ。
確か、病気で死んだ・・・
「思いだしてくれた?」
「ああ、思い出したよ。でも何で?」
「私が、神様に頼んで、人間の姿にしてもらったんだ」
「その心は?」
「君に恩返しをするため」
「でも、僕は・・・」
当たり前の事をしただけで、何もしていない。
「本来なら、ご主人さまと言うべきなんだけど。
私は君とは、友達として、恩返しをしたい。
だから、君とよばせてもらってるの」
「それは、構わないけど・・・」
でも、どうやって恩返しをする気だ?
しかし、さすがは共同生活していただけの事はある。
僕のことを、ご存知のようだ。
「雅昭くん」
「何?スミス」
「私の気が済むまで、恩返しさせてね」
「勝手にしてくれ」
これ以上は埒が明かないので、追及は止めておいた。
それで、恩返しをしてもらうことになったのだが・・・
長くなるので、またいずれ・・・
恩返し 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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