第140話 「139話」



「タマ達の出番はまだまだ先ニャー」


「え、そうなの?」


俺とかタマさん、結構遠くまで攻撃できる手段あるけどまだ先なのか。

とりあえずバリスタぶっぱなすってことだろうか。


「銀で相手できない敵が出てきたらタマ達も戦うニャ。 あ、ウッドは別ニャ」


「俺は桃量産しないとだからねえ、根っこでひたすら吸わないと」


なるほど、金は戦力温存しておくと。

俺は桃量産するためにある程度近づいたら戦い始めないとだね。


……ん?

あ、あれ……俺ちょっと嫌なことに気が付いてしまったかも知れない。



「……ねえ、もしかしてこれって俺もまとめて攻撃されない?」


「がんばれニャ」


「まじかー……」


俺が触手……はっ、まて! いつの間にか触手呼びしてたぞ……。

蔦だ蔦。


んで、蔦やら根っこを伸ばして攻撃するじゃない? そしたらそこに味方の攻撃が飛んでくるじゃない?

ぶっちぶち千切れますわ!



とまあそんな風にタマさんとだべってると再びリタさんの声が聞こえてくる。


「モンスターの群れが10km地点に来ました。 各自攻撃を開始してください、毒矢は出来るだけ集中させず分散するように撃ってください」


きたか……あの土煙の下にいる連中がついてに攻撃の届く範囲まできた。

壁の縁までいき、モンスターの群れが来るであろう方角へと目を向ける、が。



「いや、きたと言っても森で見えないのよね……」


まだ森の中で見えないのよね。

土煙がもっさーって迫ってきているから近づいているのは分かるのだけど。


「めちゃくちゃ敵が多いからニャー。 見えないけど、土煙のある方向ならどこ撃ってもあたるニャ」



……なるほど。

土煙の下全部敵なんだしどこ撃ってもあたるか、そりゃそうだ。


バリスタに取り付いてる人も特に狙いをつけるといったこともなく、適当に方角を決めてバスバス撃ち込み始めた。 そして何人か後方に吹っ飛ばされていた。



で、飛んで行った矢は放物線を描き森にぶすぶすと突き刺さり、棘がはじけ飛び。 そして大爆発を起こす。



「おおぉぉっ!?」


爆発!? なんで爆発したしっ!?


いや、確かに棘がはじけ飛びはするのだけどこんな盛大に爆発するようなことにはならないはず……ちょっとまわりの視線が痛い。 てめぇなんちゅうもん危ないもん使わせてくれとんだ的な目だ。



……はっ。 こ、この爆発はあれだ!あれに違いない!


「……ちゃ、ちゃうよ? ちゃうからね? あれ、矢じゃないからっ、分体が自爆しただけだと思うからっ」


索敵ついでにやばくなったら毒ばらまけと指示しといたから……あの感じだとたぶん周りの森にも何かしてただろうなっ。


「お前まさかまたあの毒使ってるのか?」


「あ、いや今度は矢に使ってるとの同じっす。 人には無害なんで安心してくださいっ」


毒の種類は代えるようにしたから大丈夫。

だからゴリさん、そんな目でみないでください。


「そうかなら良いが……ま、強力なのはいいことだ。 こいつでかなりの数を削れただろう、しばらく近づいてこれないんじゃないか?」


前方にもっくもくと舞い上がる毒の煙を見てそう感想を述べるゴリさん。

うん、まあそうよね。あんだけもっくもくしてたらそう思うよね……。


「あ、あの毒ですね。 ずっとその場に残ってると色々まずいかなあと思って、大体1分ぐらいで消えるんす」


「……そうか」


ごめんて。

そんながっかりした目でみないでっ。


とりあえずあの煙に入った敵は皆お亡くなりになってるみたいだし。結構数は減らしてるし……ね?






そんな事件はあったけど、とりあえずその後は通常の矢を撃ち続けていた訳なんだけどー……。


「……ぜ、全然減らない」


一向に土煙が減る気配がない。

キンバリーさんがひたすら矢を作り、バリスタ要員がひたすらに矢を撃ち続けているが正直どんだけ効果が上がっているのか分からない。


そして……。


「5km地点まで来ました、次の毒矢を撃ってください」


ついに5km地点へと群れは迫り、群れが森から染み出すようにあふれ出た。

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