第123話 「122話」

たぶん良い話ってわざわざ言うぐらいだから、良い話なんだろうけど。


あいにく俺にはそれが良い話なのかどうか判断がつかなかった。

なのでその話を聞かされてもへー、そうなんだーみたいな薄い反応になってしまうのも仕方の無いことだと思うのです。

疲れてるし、余計だね。


「もちろんタマさんにもです」


「面倒だニャー」


俺のうっすい反応をみて、タマさんへと話を振るリタさんだが……タマさんの反応はもっと薄いというか何というか、興味なしって感じだ。


「うーん……」


そもそもなんで俺とタマさんに話を持ってきたのだろう?

最下層に潜ってるダンジョンシーカーはそれなりに居るはずだし……。


「ダメだ、疲れてて頭回らないや」


何かしら理由があるんだろうけど、疲れてて考えるのが億劫になってきた。

別に俺とタマさんだけでも最下層いけるし、わざわざ他のパーティーと一緒に行く必要はないんだよね。


なのでリタさんには悪いけど今回はパスかなー?


「……最下層で未知の領域が見つかったんです。 見つけたパーティーはそのまま探索をしようとしましたがあまりに敵の数が多く、引き返して合同による探索をする事に……」


「おー」


それを最初に言いなさいよぉ。

未知の領域ねー、前にタマさんといった……なんだっけ、小部屋?みたいな感じなのかな。

最下層だし、いいもの出そうな予感がするぞっ。


タマさんはどんな感じかなー……?


「リンゴ食べたいニャ」


「ほい、タマさん」


あかんこれ。

タマさんだらけモードに入ってますね、これ。


テーブルに身を預けたままリンゴをしゃりしゃり食べてます。

このだらけきった感じがたまりませんなあっ。


最近さらにふっくらしてきて可愛さましまし過ぎてつらい。

このままだと体に悪そうだし、ダイエットさせなきゃ……とは思うんだけど、可愛すぎてついつい果物いっぱいあげちゃうんだよね。


んー……美味しくて低カロリーな果物を用意するしか?



「……お二人の力を考えると是非参加して頂きたいのですが」


おぉっと。

タマさんに夢中でリタさんのことスルーしてた。

ちょっと拗ねた感じのリタさんも可愛いですね?


「んんっ……俺は少し休んでからで良いなら参加するのもありかなー……? タマさんは?」


「どっちでも良いニャー」


俺は今日とか明日出発!ってことじゃなければ行っても良いかなーと思ってたりする。

んでタマさんはどっちでも良いと……なるほどなるほど?


ちらっとリタさんに視線を向けてみる。



「まだメンバー募集期間でして……出発は3日後です。 受けて頂けますか?」


少し考えて、そう応えるリタさん。


「うん、3日後でいいなら受けますー」


3日後なら俺は受けてもいいと思う。

今日と明日はだらだらして、明後日は準備、3日後出発で丁度良いね。


タマさんもどっちでも良いってことだし、合同による探索に参加することになりそうだ。


「うまいニャ」


タマさんお話聞いてます……?


「ありがとうございます。 すごく助かります……」


すごくほっとした様子でそう話すリタさん。

なんだろ、何かあったんかな?


俺とタマさんが参加しないと困る理由……なんだろね?

実はやばい案件だったりするのだろうか、これ。


「数が本当に多いんです。 恐らく他のメンバーだけでも大丈夫だとは思います、でもお二人が居ればかなり戦力が上がりますから」


俺の疑問が顔に出ていたのだろう、リタさんは理由を述べて……そっと俺の手にリタさんの手を添える。


「えひゃっ……ま、まままかせてくださいよっ! 俺とタマさんがいれば百人力ですからねっ」


「ちょろすぎニャ」


タマさんそんなこと言わないのっ。

まあ自分のことながらちょろいなって思うけどさっ。


リタさん美人さんだし、しょうがないよね? 野郎なんてしょせんはそんなものなのですよ。ふふん。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る