第84話 「83話」
ダンジョンへ向けて森の中を走り抜けているとゴリさんが俺に声を掛けてきた。
「それで、その索敵ってのはどうやるんだ?」
「細い根っこを地面に張り巡らせるんです。 すると地面の上を何か大きいものが通ると振動が伝わって分かるんですよ。 距離は半径10キロぐらい、一部の方向に伸ばせば20キロぐらい行けます」
索敵の件ですな。
とりあえず今分かっていることについて教えておく。
どうもダンジョンは森の中にあり、しかもそこから各街までの間にも森は続いている。
そんな中をあてもなく虱潰しに探すよりかは大分効率がいいはずだ。
かなりの身体能力をダンジョンシーカーと言えども森の中で移動速度はそこまで早くはない。
「なるほどな……反則だなそりゃ。 ま、だが非常に助かる。 かなりウッドに頼ることになると思うが……」
「任せてください! 気合いれて索敵しますんで」
もっと頼ってもいいのよ?
ゴリさんには恩がいっぱいあるしね。
出来るだけ返したいものです。
そんな感じで俺たちは喋りながらもダンジョンへと向け移動する。
喋る余裕あるのは移動速度を鉄ランクの人に合わせてるからだね。 俺も鉄ランクではあるけど身体能力だけで言えば銀相当らしいので余裕です。ふはは。
大体5時間ぐらい走っただろうか、前方に巨大な木が……って世界樹かあれ。
そっかダンジョン出来たら自然に出来るんだもんな。 前に指導者が現れたときは世界樹と一緒に戦うようなことを聞いたけど、人がいない場合は何もしないのかな?
世界樹に傷がついたような様子はないし、たぶん戦闘は無かったのだろう。
もし俺たちがいる街で指導者が現れたらその時は世界樹と共に戦うことになるのか……何とか守り抜きたいものである。
「着いたぞ、ここがダンジョンだ。 ……よし、それじゃ小休止してから索敵を開始するが、ウッド。 悪いが先にここを中心に一度調べてみてくれないか?」
「はい!」
ダンジョンついたが行き成り始めるぞーとはならない。
なんでかって言うと鉄ランクの人らが死にかけているからである。
とりあえず彼らが回復するまでの間に周囲の索敵をやってしまおう。
んじゃ、地面に根っこを伸ばして……皆の視線が超集まってる、視線の圧がぱない。
やっぱ見たことない人は気になるよねー、あいつ地面に何か伸ばしてるぞとか、あれがそうなのか……とか、ちらほら会話が聞こえてくる。
まあ、とりあえずやっちゃおう。
円形に根っこを伸ばして、ついでに吸ってと……大体3分もありゃ伸ばしきるんだけどさ、その間ずっと痛みに耐えるのって地味にきついよね。
根っこが岩か何かにあたりまくってガスガスと痛みが……つらたん。
「……大勢で動いてるのは居ないですね」
単独で動いてるのはちらほらいたけど、今回探す相手はモンスターの群れだ。
全てのモンスターがまったく動いてない何てことは無いだろうし、とりあえずダンジョンの周囲からはもう移動していると考えていいだろう。
「分かった。 ウッド、俺たちはここから北に向けて索敵を開始する。 悪いがタマさんと一緒に3つの街に行って、そこでさっきのをやってくれないか? まず街の周囲……そうだな60キロぐらいに近づいてないかを確認したいんだ」
「了解っす」
なるほど。
まずは街が安全か確認しないとだもんね。
街に行って周囲60キロ分……地味に大変そうだけどやらねばだ。
街までの移動はタマさんにお願いしてってことだね。てか俺は街の位置知らないし……。
「近づいてないようだったらこっちに合流してくれ……よし、俺たちは北に向かう! 他の連中も頼んだぞ」
そう言ってゴリさんは他のダンジョンシーカー達を引き連れてダンジョンの北へと向かう。
俺とタマさんは彼らとは別れ街へと向かうのであった。
ちなみに移動方法はタマさんに背負ってもらっております。
見た目の違和感ぱないけど、これが一番早いのです……引きずられたら死んじゃうし。
結論から言うと街の周囲にはモンスターの群れはまだ来ていなかった。
とりあえず街についた俺はよろよろとタマさんの背から降りて即根っこを円形……ではなく、一方向のみに向かって伸ばす。
移動中に考えてたんだけど、半径10キロでちまちまやってくと時間かかるんだよねえ。
それなら一方向に伸ばしたあとに時計の針みたいに回転させればいいじゃない。 と思いついたのである。 俺って天才かも知れない。
まあ、実際やると伸ばしたのを回転させるってのは無理がある。
なので扇状に広げた根っこを俺から見て左側から徐々に戻し、戻した分を右から新たに伸ばしていく、何て言うか波打つ様な感じで根っこをはわせていったのである。
それでうまい具合に時間短縮できたので、即ダンジョンの方へと戻りゴリさんと合流。
今度はゴリさん達と共に索敵を開始したのだ。
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