第66話 「65話」

ついたよダンジョン!

いやー、いつもとメンバー違うから何か気合はいるねえ。


タマさんの時とはまた違ったウキウキ感がある。

良いですなあ。うへへ。


「罠のところまでは走るが良いか?」


「問題ないです」


問題ないです。

今なら罠のところまで走るぐらい余裕ですよ。ふほほ。


「うぅ」


「早く着けばいっぱい狩れますね!」


「……」


って、ほかのメンバーはそうでもないか。

そうだよね、補正30ついてもちょっと疲れるし、補正10もない子なら相当きっついだろう。


現に結構げんなりしてる感じである。

一人元気だけどネ。



そしてやはりと言うか、走り始めてすぐにへばり出し、最後のほうは走るというか、もうへとへとで早歩きといった感じであった。


「よし、少し休憩したら始めるぞ」


「はい」


少しで良いのかなー?

もうちょい休んだほうがいい気がするけども。


……んん。

あれだ、盾の準備しないとだね。初めて使うし色々点検したほうがいいよネ。



そうそう、新しい盾だけど。見た目かなりごっつくなったよ。

前はいかにも普通の盾!って感じだったけど、今は武器の金棒と合わせてくれたのか、ちょっとトゲトゲが付いてて盾でぶん殴ってもかなりダメージ与えられそうな見た目になっている。


先端部分は特に尖ってて、ちょっとした杭みたいな感じです。

これ相手に突き刺してもいいし、地面にぶっさして踏ん張ったりも出来そうなのでよさげである。



「……あの」


「ほい?」


何か盾をごそごそいじっていると……えっと、確かペール君だったかな? 3人の内の1人が声を掛けてきた。


「それって鬼鉄製ですよね……?」


「ああ、そうですよー」


ほほう。

どうやらこの盾が気になるご様子。


そら鬼鉄製だし、高級品だもんね。


「! やっぱり! いいなー、私もいつか鬼鉄製の装備使うのが夢なんです!」


「鬼鉄製高いから……」


「確かに高いね。 狩れれば安く済むけど中々装備持ちは出ないしなあ」


もう一人元気な子も食いついてきた。


新人さんだろうが……いや新人だからこそいい装備に憧れるのだろう。

俺はこの体のおかげでしこたま狩ってお金稼げるけど、普通はそうもいかないはずである。


新人だと収支と出費がトントンな感じで結構きついんでないかなー?

中堅ぐらいにならないとあのお値段は手がでない気がする。


ってな感じで割とよさげな雰囲気でお話出来ていたのだけど……。

何か一人だけ警戒というか……なんだろうねじーっと睨む感じでこっちを見てくる子が一人いるんだけどぉ。


あんま見つめられると小心者なのでドキドキしちゃいますよ?


「……どうせタマさんが狩ったんでしょ」


おぉっとそう来たか。

タマさん強いしね。それに比べたら俺なんて雑魚もいいところである。

でも八つ目は俺が狩ったわけだし、そんなこと言われても知らんがなーである。



てかね、何かこうテンプレ的な感じが初めてでちょっとワクテカしている自分がいるのですが……タマさんに見られたら呆れた視線を投げてくれそうですね。ハハハ。


「キュカ……」


「何よ、別に間違ったこっいっだあ!?」


「キュカ、お前はもう少し考えてから喋れと言っただろう? 次何かあれば放り出すぞ」


おう。

まさに鉄拳制裁。


ゴンッていうかゴツゥッて音がしたんだけど、あれ大丈夫? 生きてるよね?


「悪いなウッドさん、こいつらには後で良く言い聞かせておく」


「あ、はい……」


スオウさんまじ顔怖い。

キュカちゃん……ちゃん付けでいっか。 キュカちゃんの頭を鷲掴みにして無理やり頭下げてらっしゃる。

何かもうためらいも無くてひぇぇーって感じですわ。怖い。




「それじゃ始めるがー……連携もくそも無いだろうからな。ウッドさん、こいつらには1~2匹いくようにして残りは狩っちまってくれないか?」


「ええ、ではそれで」


それぐらいお安い御用ですよっと。

んじゃやりますかー……っと、そうだった今日は盾の慣らしだった。

いつもの流れで金棒出しちゃったけど今日は使わないのでしまっておこう。


なんて感じでわちゃわちゃしているとあたりに大きな音が響き渡る。

例の罠を作動させたのだ。


途端に周囲の茂みがガサガサとゆれ、そこから緑色の小人……ゴブリンが飛び出してくる。

ゴブリンは俺たちを見ると間髪入れずに襲い掛かってきた。


「来るよ……!」


「一番手もっらいー!」


「……ふんっ」


最初は1匹だけだったので相手は彼らに譲ろう。

3対1だし大丈夫だよね?さすがに。


てかキュカちゃんまだつんつんしてるなあ、またぶん殴られても知らないヨ?


「おー……連携とれ、て……る?」


んで俺はまだやることないし、彼らの戦いぶりをじーっと見てたんだけどー……連携は取れてる、かな?

俺自身パーティで戦った経験がほぼないからよく分からんのよね。


なんとなーくお互いの邪魔をせず、一人が攻撃を引き付けている間にもう一人が攻撃してーといった感じで、連携取れてるかなーって気がする。



とかなんとか考えていたら再び茂みが揺れて……今度は3匹のゴブリンが飛び出してきた。


「ん、追加で3匹か……じゃ2匹もらうかな」


何故かは知らないけど、3匹とも彼らのほうへ一直線で向かっていったので辿り着く前にそのうち2匹を狩ってしまうことにする。


「ふんっ!」


まずは小手調べってことで一気に踏み込んで盾を正面から叩きつける。


「おわっ!? も、脆い……」


爆散した。

いや、まじで爆散した。


手足とか頭とかばらっばらになってすっとんで行きましたもん。


「よっと」


ちょっとびっくりして固まってしまったけど、残りの1匹も対処する。

こっちは蔦を足に引っ掛けて転ばせ、ついでなんで宙吊りにしたところを盾の先端をぶっさしてみる。


刺したのは胴体だったけど、上下に真っ二つに分かれました。



レベル上がって威力上がっているのか、いい防具だからか……鬼鉄製は最初普通の鉄製とあんま変わらないって話だし、たぶんレベル上がったせいだろうなあ。


いやー、自分で言うのもあれだけど強くなったもんだねー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る