第16話 「15話」
「いま地上にいるモンスター達はこの襲撃の際の生き残りだと言われています。 指導するものが死ぬとモンスター達は散り散りに逃げ出してしまいますので」
「うわぁ、それじゃあ町の外ってやっぱ危険なんですね」
なんちゅーはた迷惑なやつだ。
逃げるならダンジョン内に逃げればいいのに。
俺が最初にいた森は別として……そういやあそこ何で動物おらんかったんだろ? ……まあいいか、外が危険となると隣町に行くのも命懸けとかそんなんなのだろうか。
異世界ちょっとハードすぎませんか……。
「街道は大丈夫だがな」
「あ、そうなんですか?」
「……魔石と世界樹の枝を組み合わせて杭を作るんです、それを街道にそって打ち付けておくとモンスター避けになります。 一定期間で効果が切れますので魔石は常に需要がありますね、ダンジョン内でのセーフポイントとしても使いますのでそこでも需要があります」
「なるほどなるほど。 ……枝とるの大変そうすね、あんだけ高いと」
街道は大丈夫らしい。
あの魔石何に使うのかと思ったらモンスター避けに使うのね。
てっきり何か魔道具的なのがあってそれの動力源になるのかなーとか思ってたよ。
しっかし、枝ねえ。
世界樹ってさ、本当にでかいんだよね。
遠目からみたら町の中心部に小山があるように見えたもん。
大体高さは200mぐらいあるんじゃないかな……枝の広がりは直径でいうと300mとかありそうな気がする。
「登って取る訳じゃないですよ。 自然に落ちてくるのを待つんです。 私たちを守ってくれている世界樹を傷つけるわけにはいけません」
登ってとるの大変そうと思ったら、違ったらしい。
表情に出とったかしら?
「あ、そっか……ん? 落ちてくるってあの高さから? 危なくないです?それ」
「ええ、なので世界樹の下に建物を建てるのは禁止されてますね。 入り口にあったのも簡易の受付だったでしょう?」
「ああ、確かに……」
なるほどね、世界樹は自分たちを守ってくれている存在か……確かにそれなら枝を切ったり折ったりはしないで自然と落ちるのを待つってなるのか。
ちなみに世界樹の枝なんだけどさ、太さも桁違いなんだよね。 枝が落ちてくるといってもイメージ的には普通の木が1本丸々落ちてくるようなもんだね。
当然危なくて範囲内に建物なん建てることはでき……あ、あれ?
「あの……それっていつあそこに枝が落ちてくるか分からないということじゃ」
「そうですよ、たまに当たって怪我する方がいますね。 新人さんだとたまに亡くなる方もいます」
「えぇぇぇ……」
列に並ぶのも命懸けってどーいうことなんでデス??
もー……とりあえず換金したお金を受け取ってと……。
「あ、ゴリさんこれ借りていたお金……まだ足りなんで一部ですけど」
まだまだ全額には足らないけど、お金返さないとね。
はい、ゴリさん受け取ってーとお金を入った包みを渡そうとしたんだけど……ゴリさんはそれを手で押し返すようにすると首を横に振る。
「別にあとでまとめてで良い。 剣を直すのにだって金が掛かるからな? それより裏庭にいくぞ」
「……ハイ」
そうでした、剣ぐんにゃり曲がってるんでした。
すんません、お言葉に甘えてあとでまとめて返します……あ、それより裏庭ですね。
ハイ、今行きますんで抱えようとしないでぇぇ……。
裏庭に行くと何人かが訓練をしていたが、俺たちが来ると少しずれて場所を開けてくれた。
ぺこりと頭を下げ、進んでいくとゴリさんが壁に立てかけてあった剣を指さし口を開く。
「ちょっとそこの剣もって素振りしてみろ」
「は、はい」
その剣はここの備品のようのものらしい。
大分ぼろいが誰でも自由に使えるそうな。
剣なんてまともに振ったことなんてない。
俺はまわりの様子を伺いながら見よう見まねで剣を振る……やばい、下手すぎてむっちゃ恥ずかしいぞ。
せめて勢いだけでもそれらしくしよう……ってわけで思いっきり振る。
お……おお? 風切り音が変わったぞ!
ぶんぶんからビュッって感じだ。
こ、これ結構いいんじゃない?
「……ど、どうですか?」
「ん? ああ、腕力はやっぱかなりある見てえだな、他の連中よりも大分補正がでかそうだ」
何かゴリさん反応が薄いですよ……ぐすん。
これぐらい普通なんだろうか……んで補正とな?
「補正ですか?」
「そうだなあ、他の連中は確かレベルでいうと15分補正掛かるぐらいだったが……よし、次左で振ってみてくれ」
「は、はい……あの、レベルって……?」
まさかのレベル??
……はっ!? そ、そういえばステータスオープンって言ってないぞ!
もしかしてこの体の能力何かも分かっちゃう系なのか??
てか左で持つと剣くっそ重いんですけど!
さっきまで風切り音してたのが無音になってるし。 あかん。
「ん? モンスター狩ってると肉体が強化されていく。 レベルってのは強化の目安具合だな、ギルド証に数値化する機能があってなみりゃ分かるんだが、残念ながら銅のプレートにはその機能はついてない……ほれ、ここに書いてあるだろ」
「本当だ……65って書いてある……」
あ、違うぽい。
ただ単にレベルがいくつか分かるだけっぽいね。
ギルド証に書かれているのも数値一つだけである。
しかし65かぁ……たぶん高いんだよね、これ。
うん、ゴリさんも何かこう、どうだって感じの顔してるしたぶん高いんだろうなあ。
「これってやっぱ高いんですよね?」
「高いぞ。自分で言うのもなんだが、65以上は各町に10人もいないはずだぞ」
「うひぃ……」
思ってた以上にお高い。
これダンジョンシーカー全体の上位1%以内とかなんじゃなかろうか。
やっぱゴリさん半端なかった……あの、ゴリさん。 そろそろ左腕が限界なんですが。
さっきからちらちらと視線で限界を訴えているけど、ゴリさんこっちをじっと見たまま動かないんですよ。
腕がもげるぅぅ。
「そうだな……ウッドおそらくだがお前さんのその体は右半身限定で30前後の補正が掛かっているとみていいだろう。 右に比べて左が貧弱すぎる」
「ひ、貧弱……」
否定したいがこうもへばっているとこを見られると否定できない!
「あとは剣の振り方が思いっきり素人だな、素人よりひどいかも知れん。 このままじゃ剣が何本あっても足りなくなる……ってことで飯食ったら少し稽古つけてやるよ」
ふふふ、素人より酷い……ふふふ。
心にぐっさぐさ刺さりますわ。って稽古? 稽古って稽古?? マジデスカ!?
「い、いいんですか……? ゴリさん休んでいるところなんじゃ。 いえ、勿論めちゃくちゃ嬉しいんですけど」
そう、嬉しいけど確か仕事終えて休んでるんだよねゴリさん達。
「そうだな、正直言うともう暇になってきてんだよ、暇つぶしだ暇つぶし。 ほら飯食いにいくぞ、お前もせっかく稼いだんだ飯ぐらい食っとけ。 どうせ根っこで吸ってすませてんだろ?」
「だはは……いきますっ」
「おう」
ゴリさんこの人まじでええ人や。
返さないとダメな恩がどんどん増えてくなあ……、
果たして返しきれるのだろうか?
……とりあえずご飯にしますか。
この世界にきて初めて食べるまともな食事だ。
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