双子の勇者、カイルとナイル。

@ichimura0417

第1話

「カイル、起きなさい! そろそろ起きないと、討伐戦に遅れてしまうわよ? 全く……カイルったら、折角のギルドからの依頼だというのに……」

「ふぁぁ! おはよっ、ナイル」

「あらぁ、カイル! もう起きてたの? 今日は珍しく早いわね」

「ふふ。ナイルに起こされなくてもいいように、「特訓」をしていたんだ」

「そうなの。さあ、朝食ができたわよ。食べましょ」

 ナイルはフリルのエプロンを脱いで、軽いドレスに着替える。

 向かった食堂にはハーブティーの匂いが充満していた。

「あら、今日はハーブティーなのね」

「さすがナイル様。本日のハーブティーはアイダ様より頂いたものでございます。何でも、リラックス効果があるのだとか。昨日の今日で討伐戦へご参加なさるのですからこちらのハーブティーをお選びいたしました」

「済まないな、ガイ」

「迷惑をかけるわね」

 ぼくたちをお世話してくれている執事のガイに礼を言って、席に着く。

 今日の朝食はパンケーキだ。

「あら。カイル、その傷はどうしたの?」

「……昨日の練習でケガをした」

「練習!? ってまさか、あの後練習をしてたの?」

「…………」

「ダメだと何度言えばわかるの、カイルは!」

 すねたようにナイルが言う。

 パンケーキの上に置かれたジャムが、ナイルの持っていたナイフにあたって残っていた粒がつぶれる。

「次、同じようなことをしたら、絶交ね?」

「いやだ……。絶交だけは……」

「じゃあ、しなければいいのよ。過度な練習は身を滅ぼす。それに、カイルは十分強いわ。まぁ、私を守れる騎士ナイトぐらいにはなったんじゃない?」

 ナイルの騎士……悪くない。

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