コミュ障が痴漢されている人を助けたら恋人になりました

楽園ロング

ある日の朝

 「多くのお客様にお乗り頂くため列車中央までお詰めください」

 僕はいつも高校へ通う為に電車を使っている。この街は人口も多いため毎日朝ラッシュで満員電車になっている。満員電車は文字通り電車の中はいつも人で溢れ返っている。女性や男性、会社員に学生、様々な人が電車に乗っている。また友達と喋っている人、本を読んでいる人、単語を覚えている人、スマホを触っている人等々一人一人思い思いの時間を過ごしている。しかし、その時間を性癖に使う人もいる。例えば痴漢である。自分は現行犯はまだ見た事はないが、されたという噂は何度か聞いた事はある。自分は弁護士のドラマを見すぎたせいかどんな社会のルールであっても守らない人を許すことが出来ない。例えば友達がイヤホンを付けて自転車を運転しているのを見たら止めたくなる。ただそれは友達だから言えるが他人には言う勇気がない。たぶん。痴漢に遭っている人がいても見て見ぬふりをする可能性が高いであろう。

「んんっ」

何かを耐えているような小さな声がした。声のする方を向くと会社員と思われる男性が下の方で手を動かしいる。何かと思いよく見てみるとそこでは犯罪が犯されていた。犯罪をしている人は許せない。しかし、知らない人に声をかけるのは難しいのである。被害者を見てみると同じ学校を着ている女性であった。言うか言わまいか悩んでいると男性の手はますます動きが大きくなっている。女性の目には涙が浮かんでいた。そこで僕は少ない勇気を使い、

「ちょっと!なにしてるんですか?」

電車の中の人の目線はほとんどがこちらを向いている。男性は驚いているようだ。そして同時に怒っている。

「俺は何もしてねぇよ!なんの証拠があって言ってんだよ!」

男性は怒鳴り散らしている。そりゃそうであろう。これでバレれば男性は会社をクビに、いや、人生をクビにされる。しかし実行しているのを見ている。

「さっき、している所を見ましたよ。よくそんな嘘が言えますねぇ」

僕は最初に言う勇気がないクセに言い始めたら知らないうちにとことん追い詰めていた。

「見た証拠なんてあるのかよ!見せろよ!」

男性は喚き散らしている。言い返そうとすると電車が揺れた。窓の外を見てみると電車が低速で進んでいる。もうすぐ駅に着くみたいである。ここで降りられると犯罪者を逃すこととなってしまう。しかし取り押さえるような力もない。考えた僕はあることを思いついた。

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