無題

チャーハン

無題

『無題』


 彼はそう、ただ一言言って消えた。

 彼を端的に現すとすれば『カオスの権化』若しくは『混沌』


 彼は常に薄い笑みを貼り付けていた。

 談笑している同級生を見ているときは、なにが面白いのか、その笑みをより一層深めた。


 彼は周りからは『厄介者』或いは『変質者』と呼ばれていた。



 曰く、親がいないだとか。


 曰く、虐待を受けただとか。


 曰く、殺人を犯しただとか。



 とにかく、彼は噂に尽きぬ人であった。



 閑話休題そんなことはいい



 彼の消失に気付いているのは『自分』と『翔』と『竜生』だ。


 そんな自分も『翔』に言われて彼の消失に気づいていたのだが。


 彼の消失は、明らかにおかしい点が幾つもある。


 例えば、彼の消失に対して『誰も気付いていない』


 それはまるで『最初から居なかったかのように』彼の記録、記憶の全ては消えてなくなっていた。


 彼は、学校ではそこそこに有名であったし、クラスのなかでは知らぬ人はいなかった。


 だが、実際には『誰も気付いていない』


 他にもおかしな点はいくらでもあるが、きりがないのでここでは割愛させていただく。




 自分と『翔』と『竜生』は彼の消失に関しての考察をした。(未だに意見は纏まらず『これだ』という考えも挙がってはいないのだが。)



 1つ目が『世界が変わった』


 言っているワケが分からない、そう言われるのも仕方がないだろう。

 だが、自分達しか認知のしていない明らかな『事件』

 自分達ではそういった『幻想』の可能性も考えている。



 二つ目が『自分達がおかしい』


 周りが認知していないのではなく、自分達がいもしない人物の記憶を持っているのではないか、という可能性。

 大多数が知らない、と言っているのだ。

 信じたくはないが、これが一番可能性が高いと思われる。

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無題 チャーハン @YANO1221

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