チカの街

酒田青

プロローグ

「あ、もしもし。高野君?」

「うん」

「寝起きかな。ねえ、今日一緒に出かけない? わたし、この街に来てまだ間もないしさ、散策に出ようと思って」

「おれと一緒に?」

「うん」

「他の友達は? 何人かできただろ?」

「高野君がいい」

「うーん」

「やだ?」

「いいよ」

「やった! じゃあ、十一時ごろ家に来てね」

「おれが迎えに行くの?」

「そうだよ」

「しょうがないなあ。じゃあ、十一時ね」

「ありがとう。よろしくね」

「はいはい」


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