始動{済}

 ここは、鉱山の街エルラスタ。


 ここエルラスタは、ドラゴノヴァ国の中でも最も賑わっている街であり、数千人が住んでいる。


 街は鉱山のふもとにあり、他の国に攻め込まれないよう、街をかこむように高い鉄の壁でおおわれている。


 ここの鉱山でとれる鉱石はアクアリュウムといい、蒼く澄んだ水のような色をしている。


 そしてこの鉱石には、魔力や能力を高める効能があるため、価値があり高値で取引されるほどだ。


 そして治安がよく、警備の兵もさほどいない。


 街並みはお洒落な建物がおおく、店もかなり賑わっている。


 そして各店では、宝石がほどこされた武器や装備や装飾品などが売られている。


 街の中心部には、噴水広場がある。


 そして周辺の路地は整備されていて、草花もキレイに咲きほこり、住民たちのいこいの場となっている。


 ♣︎

 ♧


 あれからクルテルとユリナシアは、街の外にでて涼香たちのところにきていた。


 ユリナシアは、涼香たちに会釈をすると話しはじめる。


「はじめまして、私はこのエルラスタの領主、ユリナシア=オルキデともうします」


「あっ、はじめまして。私は、龍崎涼香です」


「はじめまして。俺は、久瀬要です」


「これはユリナシア様。お初におめにかかります。我はルトルシニア国の四天王が一人、白銀の貴公子ことガディス=グラースともうします」


 ガディスは、立膝をつき挨拶をすると、ユリナシアをみつめふたたび話しだした。


「我がルトルシニアにおきましても、ユリナシア様の高貴なお姿のうわさは聞きおよんでおりました」


 するとガディスは、ユリナシアに熱いまなざしをむける。


「ですが、おうわさ以上に高貴なオーラ。それ故、お許しください。私は今、ユリナシア様を直視することができずにおります」


 それを聞きユリナシアは一瞬、顔がゆるみそうにる。


 だがそれに耐えユリナシアは、ガディスから目をそらし、涼香たちの方へと視線をむけた。


「先程クルテルより、報告をうけました。なるほど、あなたがバルロス様と同化したという涼香なのですね。なんと愛らしい」


 ユリナシアは、涼香にそう言うとガディスの方へと顔をむける。


「……で?あなたが、ルトルシニアのガディス。はて?ルトルシニア国は存じあげておりますが、貴公のことは聞いたことがありません」


 ガディスは、顔を一瞬ひきつらせた。


「そ、そうなのですね……」


 ユリナシアは、ガディスの言葉を無視し涼香の方をみる。


「それはそうと。立ち話もなんですので、屋敷の方で話しませんこと?」


「ユリナシア様、その方がよいかと」


 クルテルがそう言うと涼香たちは、ユリナシアの屋敷にむかった。


(クッ、なるほど。もう既にはじまっているという事か)


 ガディスは一瞬、苦痛の表情を浮かべる。だがその後ガディスは、平常心をたもち涼香たちのあとをおった。


 ♧

 ♣︎

 ♧


 場所は移り。ここはエルラスタより南東の方角にある森の中。


 その頃ブレグラン国の四天王ルナソルは、兵士たちと待機していた。


(それにしても。ネフロスとラゴスの帰りがおそいわね?

 まさかあの2人に限って、やられるとは思えない。だけど、もしもという事もかんがえられる)


 ルナソルは、ネフロス達がむかった森の方角をみた。


(私まで、ここを離れるわけにもいかない。だけど、やはり変よね)


 ルナソルは、辺りをウロウロしながら考えている。


(んー気になる。ここはとりあえず兵士たちに任せて、私もむかった方がよさそうね)


 ルナソルは、兵士たちになにかあった時は連絡をするように指示をだした。


 そしてルナソルは、青毛の馬にまたがり、ネフロス達がいる森へと急ぎむかった。

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