第2話

今日は朝から人目が気になる。私がいつもの普通じゃないことを知らない知人がいないからだ。「どしたん」と幼馴染みは聞いてきた。何でもないよーという顔ができなかったから「別に」と、そっぽ向いた。「あれか?」と言った幼馴染みは『匕背ヒロシ』の名前を出してきた。「なんでー」って、しょっぱい思いが駆け巡る。両目が赤いから泣いてたのかなと思って。したら何かあったかな?と思ってたらそうそう『匕背ヒロシ失踪事件』が有ったな、と思い出したわけなのさ。と幼馴染みは茶化しながら推理を披露した。『どきり』とした鼓動が『どきどきどき』に変わって、気がついたら、CM4本録画してた。と、誤魔化さずに直球でストレートにきめた。『知恵熱』か?、まさか『はしか』?と幼馴染みは驚いていた。『あーゆーの好みだったっけ』?とドン引きされる。そうじゃないけど、そうなっちゃったかもしんない。とストレートに言った。『御愁傷様』と、幼馴染みは言って私が泣ける様に、一人にしてくれた。教室にいても別の誰かと同じ様な話をしなくちゃならないのが嫌で、グラウンドの緑の金網から斜面に生えてる植物を観察した。そうだ。私は『色恋』よりも『花鳥風月』派なのだった。さつきより速く大きなつつじの花を見ながら 、赤い色が綺麗だと思った。ピンクにはあわなかった白いつつじも赤い色にはお似合いに見えた。「赤い色」は綺麗だなぁと思ってたら野球部のボールが目の前を通り過ぎ「そのボール取ってくれ」と通り過ぎたのに言われた。面倒だと思ったけど、何かをして気でもまぎらわそう、と思い、制服のスカートを汚さない様に斜面をゆっくりと降りて、ボールを追っかけた。ボールは排水溝に貯まった水に浮いていた。あれっ?と思いながらも、投げてまた落として二の舞は嫌だったので右手に持って、斜面を登りあげた。「はい」と言って水に浮かぶ軽いボールを掌に返した。したら「これ違うボールだわ」軽いっしょっと言われて、排水溝の水に浮かんでいた疑問がとけた。「これ以外見かけなかったんだけど」と本当の事を言うと、朝練終わるから、教室に戻りなと言われた。「さぼりじゃないのなら」と赤い目を指さされた。さぼりをする気になれた私は赤いつつじの木の側で制服が汚れない様に注意しながら、そっと腰をおろした。つつじはでかいなとか思っていたら、さっきの野球部(の男子)がやって来て清涼飲料水をくれた。「赤い目冷やし終えたら」熱中症対策に飲めよと言って去った。

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